2016年10月20日放送☆コネクト   ゲスト:neeth(ニーズ)株式会社 石井宏和さん

野崎(以下「野」):neeth(ニーズ)株式会社の石井宏和さん、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

石井さん(以下「石」):よろしくお願いいたします。

野:neethというのはどんな会社でいらっしゃるんですか?

石:今年ちょうど会社を設立して10年目になるんですけども。

野:もう10年なんですか?

石:おかげさまで。10年前にお会いしてからあっという間に10年経ってしまいました。

今は北海道の地域の産品、主に野菜を中心とした農作物の発掘と磨き上げ、それを百貨店を中心に国内、海外に流通をさせているというのが私たちの事業です。

野:海外ってゆうとどっち方面なんですか?

石:今だとASEANの主にシンガポールとかベトナムの方に輸出をさせてもらってます。

野:すごいですね、いつの間に輸出まで手がけてるとは。会社の規模はどのくらいまで大きくなられたんですか?

石:うちの会社は今大体1億くらいの規模でやらせてもらってます。うちの内部スタッフは6人ぐらいで、外部の協力してくださる方々と一緒に事業をすることがすごく多いので。

野:連携していくってかたちなんですね。

石:やっぱりこの時代なので、社内で全部内包するってよりは、強みを持ってる方々と連携しながらプロジェクトを進めることが大切かなと思っています。

野:自分が苦手なものまでやってたら、スピードが遅れてしまうってゆうのもありますしね。世界的にみても、その流れは強くなってると僕自身も感じますね。10年かぁ、早いですね。僕まだ5、6年くらいかなと思ってたんですよ。たいしたもんですよ、今10年続く会社ってすごい少ないんで。1年もしないうちに会社をつぶしてしまう方すごい多いんですけど、そんな中で10年続けてるってゆうのはたいしたもんですね。

石:内部メンバーでずっと支えてくれているスタッフがいるんですけど、本当に外部からご協力いただく方々のおかげで、なんとかやってこれたって感じですね。

野:素晴らしい。僕から見た石井さんは、10年前ですごく若いなと思いましたし、若手でこれからどうやって引っ張っていくのかなって。学生支援をやってた頃ですよね。ビズカフェのお仕事をされてたときにお会いしたことがあるんですが、そのときはまだ学生っぽさが抜けてなくて頼りなかったんですけど、気がついたらえらいしっかりとした方になってて。これからすごい人格者になっていくのかなと期待してるんですけど。

石:ありがとうございます、頑張ります。10年前って、今もその理念とかは残してるんですけど、当時はインターンシップのコーディネート事業をやらせてもらってて。若者たちを北海道の中小企業に送り込んで、新規事業開発とか、元気にする雰囲気づくりとかのコーディネート事業をずっとやらせてもらってて、その時に野崎さんと一番初めにお会いしたんですよね。

野:そうかもしれないでね。うろ覚えでしかないんですけど、そんなに時間経ってたのかと思うと自分の歳を感じてしまいますよ。気づいたら僕もあと数年で50だもんね。いつまでも若い気じゃいけないなって改めて思ってますけど。

石:野崎さんは10年経ってもお若いなと思いますよ。

野:いやいや。いつまで経っても自分はまだまだ青いなと思ってますけどね。

石:私も青さはいつも感じます。

野:今は農をつないでいるということでやってらっしゃいますけど、具体的にどのようにつないでらっしゃるんですか?たまたま昨日ちょっと調べてて、プレスリリースを見ていたんですけど。

石:食ももちろんそうなんですけど、農山村のもってる価値をいかに事業化できるかってゆうのが根本にあって、具体的にいうと農山村でうまれる食材を磨き上げて、売っていくこと。最近は農山村に来てねってゆうことで、ファームステイというプロジェクトも最近始めました。あとはやっぱりものを売っていくと、そうゆう価格になってしまうので、ものに付随してコトを売っていくことをすごく大切にしていて。あとは私東京農業大学の講師のお仕事もやらせていただいてるんですけど、研究してる部分をいかに実学に生かしてくかってゆうところで、研究技術を生かした農作物の生産とか、機能性とかそうしたところをやってますね。

野:東農大では、どういった研究を学生たちと?

石:今やらせてもらってるのが、トマトの機能性ってゆう部分とか、最近すっかりメジャーになりましたけど、カラフルポテトですよね。これは大学の先生が研究されている赤い芋とか紫の芋とかの機能性の価値を、素晴らしい研究でもわからないと価値が伝わらないので、それをデザインとか文字とかの表現にいかにおこして、食べる人に伝える編集作業とゆうか、情報の入手作業をして合わせて一緒に野菜の価値も届けていくってことをやらせてもらいましたね。

野:昨日あるフレンチレストランで食事してたんですけど、インカのめざめを1年くらい熟成させたものを食べたら、安納芋かと思うくらい糖度が高くて甘かったんですよね。芋って奥が深いなと思ってますし、機能性は意識せずに食してますけど、トマトとか「医者が青くなる」ってくらい、トマトを食べれば元気になるって話がある通り、トマトのマーケットも含めてまだまだ可能性の満ちた大地なのかなって、北海道のことを改めてみてますね。

石:そうですよね。なので私たちもニーズという会社だけじゃなくて、生産者の方たちに「HOKKAIDO SNOW JEWELS」ってゆうブランドを立ち上げて、大地の恵みとして宝石のように光り輝く野菜たちを食べてほしいということで、このプロジェクトを2012年から始めて。百貨店だけじゃなくて、海外からもすごくいいねっておみやげで、冷凍食品とかを買っていただく方が最近すごく増えてますね。

野:すごいですね、ありがたいですね。本当おしゃれな名前つけたなって思ってましたけど。そうゆう需要ありますよね。

石:需要もありますし、うちに関わってる生産者の方々の土づくりとか、決してマニアックではなくて、野菜の美味しさにちゃんと反映されてるってゆうことを、しっかりと自分の言葉で語れる方。その語れる言葉を目の前の会話だとなくなっちゃうんで、それをいかにおこしていくかってことを意識してますね。

野:大事だと思います。僕も今9月に新しく農業法人を立ち上げまして、来年の春からある農作物をつくろうと今動いているんですけど、求められる食ってどんなのだろうって考えたときに、選択肢のひとつとしてトマトも考えてましたから。エーデルワイスファームがトマトつくってどうするんだって言われるんですけど、トマトを加工してエーデルワイスファームの商品と一緒に出してくとか、こうゆうのがあるわけですよ。お客さんが本当に美味しいって感じるものづくりって考えたときには、かつてうちも酪農やってたことがあるので、父とか従業員がずっとやってたのは昭和70年のころですけど、当時から土づくりのことは話してましたし。そのときにいたスタッフの一人が東京農大出身の方で、土づくりの権威の先生の元で研究されてきた方が、たまたまうちに就職希望して入ってきたんですよね。1977,8年ぐらいから6年間くらいやってきた中でゆうと、牛の改良に成功して、ミルクの質、牛の体型も含めてですね、牛の共進会ってゆう展示会みたいな、牛の体型と質、乳量を競うコンテストがあるんですけど、連続して入賞してたのを覚えてますね。

石:東京農大でも創始者の榎本武揚が、函館の戦争で負けたので、あの後結局明治政府で北海道に来て、酪農はすごく重要だと言って、研究とかをずっとされてたってゆうのがあってですね、お話を聞かせていただいて30何年前ですか、先を見られてるんだなって思いましたね。

野:父はずっと土づくりのことを話してた中で、当時いたスタッフで中島さんという方で今群馬にいらっしゃるんですが、その方が研究をしている先生の研究書の核心をなかなか見せてくれなかったらしいんで、こっそり盗み見して全部盗んできて、それをうちでたまたまテスト的に始めたら、見事に土って大事な要素なんだってことを学んだってことを話してましたけど。酪農家の部分で言ったら、非常に仲良くさせていただいてますけど、上士幌にある新村牧場の新村さんとかも土づくりを中心に考えてますし。僕は土づくりのあり方ってゆうのはずっと父と話してきてるんですけど、父は「土づくりから全てが始まる」ってゆう考え方は間違いであるって言ってるんですよ。土づくりをして最終的に土のためにそれをやるのかって言われたらそれは違うじゃないですか。人間のために、もしくは自然環境のためにやることであって、主体性を間違ってしまうと誤った方向にいくとゆう話をよく父がしていたことを覚えていますね。

石:それはその通りですね。

野:よくいらっしゃるんですよ。良い土づくりをしていれば絶対いいものができるって方が。ある種、よいものをつくっていれば売れるって言ってるのと同じなんですよ。よいものづくりをしていれば売れるって、どういう根拠で言ってるかというと、主体性が全くないんですよね。まわりに付随するものがあるから売れるのであって、ただいいものをつくれば、ただ土づくりをすればっていうのは間違いかなって感じてますね。物事を見る視座を間違えると、全くニーズのないものが出来上がってきたりとか、全く予想だにしないものがあがってきて、結局自分には返ってこないのかなって。本質的なのは、求められるものをちゃんと考えて、ものづくりや土づくりも含めてやっていくとビジネスは成功するんじゃないかたって、父の哲学から学んだことですね。

石:素晴らしいですね。

 

野:やはり点でビジネスする時代はもう終わりかなって思ってまして、私利私欲的な流れってお客様からも受けないですし、クラウドファンディングなんてそうですけど、皆に応援してもらえるような事業って考えていくと、今までのビジネスの在り方とは変わってきてるなって感じます。例えば今農業者との接点が多いと思うんですが、その辺はどのように感じでらっしゃいます?

石:結局我々のプロジェクトって、単に野菜を仕入れるっていう一対一の関係じゃなくて、大学とか研究機関とか、そこに付随する資材会社さんとか種屋さんとか、皆で研究会みたいなのをつくって、お客さんに喜んでもらうための新商品の開発とか、それを一番美味しい状態で届けるにはどうしたらいいかとか、どのように加工したらいいかとかを考えるので、点ではなくチームを組んでやっていくことをしないとできない。それぞれが価値を持ち寄って、どうしたら一番食卓を豊かにするか考えるってゆうのが大事ですね。

野:そこが一番肝ですね。ただものをつくるんじゃなくて、最終的に求めてくださる方々を見てるとかたちになるんじゃないかと思うんですけど。農業者の方々も危機に感じてらっしゃる方もいらっしゃるんですね。

石:最近農大の講義を通してそういう方とご縁をいただいて、一緒にやらせてもらうことが多くなってますね。

野:学ぶ姿勢ですよね。そうなってくれると嬉しいなあ。

石:食べる人とつながりたいけど、流通できないから間に入って3人でやりませんかとかお話をいただくことがすごく多いですね。

野:ありがたいですよね。偶然東京農業大学にはいって、教授として教鞭ふるっている中でそんな話もあがってくるって、不思議なご縁ですよね。

石:本当に私もありがたいご縁をいただいたなと思ってて。でもやっぱり一番きっかけがあったのは、2011年の東日本大震災を通して、食の大切さを改めて考え直したなっていうことと、北海道には食の世界を変えていく可能性があるんじゃないかって強烈に思いました。

野:僕自身も農と食、これに観光をつなげようとしてますけど、食と農業と観光はとくに北海道はこれから5年、10年後、さらに50年先を考えたときに大いに可能性のある地域なので。ある方に、「北海道には何がある」って質問されたことがあるんですよ。石井さんに質問しますけど、北海道には何がありますかね?素材以外で。

石:水、空気、海。素材ですよね。なんでもあるな。抽象的には可能性があるってことになるんですけど。

野:その方に言われたんですけど、「はっきり言って北海道には何もないんだよ」って。なんでかっていうと、たかだか150年しか歴史がないでしょって。150年しかない歴史の中で、素材を抜いたら何もない大地なんですね。ということは逆に考えると、何もないからつくれるんだと。つくれるってことを北海道の人たちは放棄してしまったら、本当になにもなくなっちゃうと。つくろうという意識が非常に大事で、ある政府機関の方が言っていたんですけど、可能性がある大地なんだから、東京とか大阪とかほかの首都圏を見て今まで真似してきた部分があるけど、そろそろ北海道オリジナルの文化をつくってもいい時代じゃないかって話をされてましたね。

石:今の話でいうと、僕も一昨年にアメリカの農業体験や農業視察、ミラノ、EUに行かせていただいて外から北海道を見たときに、まだまだできることがたくさんあるなってすごく実感させてもらって。戻ってきて現場で悪戦苦闘しながら積み重ねてるのが実情ですね。

野:北海道はヨーロッパの農業とか食の文化を学ぶべきだと感じますね。今までアメリカばっかり見すぎてて、大量に生産することを主に目標としてきましたけど、もうそういう時代じゃなくて、さまざまな地域でさまざまな食文化があって、例えばハムソーセージもそうですけど、石狩圏内にはエーデルワイスファームがある、函館にはカールレイモンさんがあるとかね。それでいいと思うんですよ。お互いのものをけなし合う時代じゃないんですね。あそこのものづくりはどうだからとか、そういう問題じゃなくて、それぞれにいいものをつくってると信じてらっしゃるんですから、あえて手を組んで一緒にイベントをしていったりとかすると、消費者から見てもおもしろいと思うんですね。けなし合うってこれ程みにくいことはないと思いますね。

石:時間と機会の無駄になりますね。前を向いていくほうがいいですよね。

野:地元の狭いマーケットしか見てないからそうなってしまうんですよ。もっと広いマーケット、全国であったり世界であったり、まだまだニーズがあるって考えていくと、それに応えていこうってことができるはずなんですね。そこにプラスα、さまざまな事業分野の方々と連携して、なにかおもしろいコトづくりをやっていくと、世の中おもしろくなるんだろうなって感じてますね。本日はどうもありがとうございました。

石:ありがとうございました。


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