エーデルワイスファームは、ハムづくりのカテゴリーとして 「ナチュールハム」 を提唱します。
それは、古来から受け継がれてきた本来の製法に基づき、自然に寄り添い、誠実な姿勢で仕上げた安心と美味しさの象徴です。そしてこの伝統を、未来へと守り受け継いでいくための約束でもあります。

背景と私たちの想い

「ハムやベーコン、本来の姿とは?」

「添加物が体に良くないのは分かるけど、週刊誌で煽られた情報にもうウンザリ。
ハムやベーコンは、本来はどういう作り方が王道だったの?
無添加や無塩せきの商品を友人に勧められて買ったけど、正直、美味しくないんだよね…」

先日、お客様からこんなお話をいただきました。

実は、この言葉こそが、私たちが「ナチュールハム」という定義を掲げようと思ったきっかけです。


■ 本来のハム・ベーコンづくりとは

ハムやベーコンは、もともと冷蔵庫のない時代に「肉を長く美味しく保存するため」に生まれた知恵の結晶です。
岩塩や自然に存在する硝酸塩を使い、じっくりと時間をかけて熟成し、炭や薪で燻す――。
それは、保存性と同時に、肉の旨味と香りを引き出すための「伝統の製法」でもありました。

つまり、ハムやベーコンは本来“保存食であり美味しいご馳走”なのです。

ワインの世界で「ナチュールワイン」が消費者に浸透したように、ハムの世界でも自然な造りを重視する基準が求められています。(ナチュールワインとは農薬や化学肥料を極力使わず育てたブドウを、野生酵母で自然発酵させ、添加物をほとんど加えずに造るワイン)

私たちは、1933年の創業以来守り続けてきた伝統製法と北海道の自然を背景に、この「ナチュールハム」という新しい定義を提案いたします。

それは、添加物に頼らず、素材と真摯に向き合うものづくり
食べる人の安心と、深い美味しさの両立を実現する姿勢そのものです。

■ 無添加は安全か?

「無添加だから安全」――そんな単純な話ではありません。
例えば、塩や火入れをしなければ腐敗が進んでしまいます。
大切なのは、添加物を使うかどうかではなく、どういう考え方で必要最小限に抑えるかなのです。

重ねて申し上げるように、亜硝酸はハム作りで何千年と使用されてきた岩塩の中に含まれていたものであり、もともと土壌や野菜に含まれている自然界の成分。これを必要最低限にすることで、安全性と伝統の味わいを両立させています。(現代社会においては、岩塩そのものを使用しなくなったのは、そのまま使用すると人間に害のある鉱物や衛生的にも問題となった背景があります)

歩留まりを犠牲にしても守る、本来の旨み

一般的な加工ハム・ベーコンでは「保水剤(リン酸塩やph調整剤)」を加えて、製造中に失われる水分を保持します。これにより、製品重量が増え、しっとりジューシーに仕上がります。
一方で、保水剤を使わない場合、加工や加熱の過程で20〜40%の水分が失われやすく、歩留まりは悪くなります。つまり、メーカー側にとっては「ロスが増える」製造方法です。

私たちエーデルワイスファームは、あえてこの保水剤を使いません。
それは、歩留まりを犠牲にしてでも、肉本来の旨みと凝縮感を優先するためです。パサつきを抑えるための化学的な補助に頼らず、氷温熟成と薪火燻煙によって、時間をかけて自然なジューシーさと香りを引き出しています。

結果として、私たちのハムやベーコンは「効率よりも美味しさを選んだ味」に仕上がっているのです。

ナチュールハムの定義

ナチュールハムとは――

  • 歩留まりや水増しを目的とした 保水材のリン酸塩やph調整剤、卵、たん白加水分解物・増量剤、及び着色料などを一切使用せず
  • 短時間で塩漬を行う注入針による塩漬(インジェクション)を一切行わず
  • 昔ながらの岩塩に由来して使用されてきた 亜硝酸塩も可能な限り低減し
  • 燻煙する際には、炭や薪を用いて木材を燻す古典的な直火式燻煙を行い
    (熱源に電気やガスは使用しない)
  • 肉本来の旨味と香りを最大限に引き出す製法 で仕上げたハム

つまり、古来から続いてきた「本来の姿」に立ち返ることを意味します。


これからの展開

  • 「ナチュールハム」の理念を、HP・リーフレット・展示会を通じて広く発信します。
  • 消費者にとって分かりやすく、業界にとっても信頼の証となる基準として普及を目指します。
  • 将来的には「ナチュールハム協議会」を設立し、業界全体の品質基準化を推進してまいります。

エーデルワイスファームの歩み

1933年の創業以来、私たちは北海道の大地に根ざし、自然と共に歩んできました。
ハムやベーコンは、国際味覚審査での連続受賞をはじめ、数々の評価をいただいています。
その実績と歴史を礎に、新しい基準「ナチュールハム」をここに提案いたします。