ビニールハウスの引き戸を開けると、外の冷たい風がふっと止みます。足を踏み入れると、土がやわらかく沈みました。

エーデルワイスファームがベーコンに合わせるアスパラは、蘭越町の中屋農園でつくられています。土づくりに、鮭とホタテとワカメが入っています。

エーデルワイスファームは、北海道北広島市で薪・炭火仕上げのハム、ベーコン、ベーコン節®を製造しています。春に出すアスパラとベーコンの組み合わせは、蘭越町の中屋農園さんに支えられています。2019年4月、収穫前の畑を訪ねました。

雪をかぶった羊蹄山と、その麓に広がる蘭越町の畑
蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山。中屋農園はこの麓にあります。

蘭越町、羊蹄山の麓

中屋農園は、札幌から車でおよそ3時間の蘭越町にあります。羊蹄山とニセコの山々に囲まれた土地です。

北海道の4月は、晴れていても風が冷たい季節です。取材にうかがった日も、外を歩くと手がかじかみました。ハウスの中は別の場所のように暖かく、土からアスパラが伸びていました。

ビニールハウスの土から伸びはじめたアスパラ
ハウスの中。4月の畑から、アスパラが伸びはじめていました。

土づくりに、鮭とホタテとワカメが入ります

中屋農園のアスパラは、土づくりに特徴があります。堆肥に「ほっちゃれ」と呼ばれる鮭の身、ホタテの貝殻、ワカメを混ぜ込んでいます。

畑を歩いていると、足元に貝殻が落ちています。中屋さんによると、これらを混ぜ込むことで土が栄養を含み、やわらかくなるのだそうです。実際、一歩踏み出すと靴の底が沈みました。サブソイラーという機械で、アスパラを傷つけないように土を耕し、空気を含ませる作業もしています。

VOICE

うちのは全然青くさくないでしょ。

— 中屋農園・中屋さん

刈りたてを一本、その場でいただきました。歯を立てると、すじが残らずに折れて、先に水分が来ます。えぐみを感じる前に甘さが来る、という順番でした。

中屋農園のビニールハウスの前に立つ作り手のお二人
取材にお応えいただいた中屋農園のお二人。

三世代でつくっています

中屋農園のアスパラは、おじいさま、娘さん、お孫さんの三世代でつくられています。

アスパラづくりを引っ張ってきたのはおじいさまです。収穫の時期は毎日のように畑に出て、重機も自分で動かされます。2019年の取材の日も、トラクターを運転して畑へ向かう姿を拝見しました。

エーデルワイスファームの会長と社長が中屋さんに最初にお願いしたのは、2019年の取材時点でおよそ20年前のことだと伺いました。ベーコンに合うアスパラを探していて、あるホテルのシェフに紹介していただいたのがきっかけです。

TIMELINE

1990年代末ごろ エーデルワイスファームの会長と社長が中屋農園にアスパラを依頼(2019年の取材時点でおよそ20年前と伺った)
毎年春 収穫前に畑を訪ね、その年の様子を記録している
2017年4月 収穫前の畑を取材(アスパラ取材記)
2018年5月 収穫が始まった時期の畑を取材(アスパラ先生の土づくり)
2019年4月 ハウスの中と、三世代の作り手を取材(この記事)

アスパラとベーコンを合わせる理由

アスパラは水分でできています。足りないのは塩気と脂で、その2つをベーコンが持ち込みます。

エーデルワイスファームのベーコンは、塩漬液に浸して塩せき(=肉を塩漬けにする工程)し、マイナス2℃の氷温帯で約4週間かけて熟成させています。原料肉10kgが仕上がりで約6kgになるまで水分が抜けるため、焼いたときに出るのは水ではなく脂です。アスパラに巻いて焼くと、アスパラから出た水分でベーコンがふやけずに、脂だけが移ります。

アスパラにベーコンを巻いて焼いた一皿
アスパラにベーコンを巻いて焼いたところ。

EPILOGUE

土の話をする人のアスパラだから、合わせています。

味の説明より先に、鮭とホタテとワカメの話が出てきました。
畑を見せてもらうというのは、そういうことでした。

関連記事:アスパラ取材記(2017年)アスパラ先生の土づくり(2018年)ベーコン節®のアスパラベーコン

WHO MADE THIS

エーデルワイスファームは、北海道北広島市で薪・炭火仕上げのハム、ベーコン、ベーコン節®を製造しています。

ドイツの伝統的なハムとベーコンを、家族が自分たちで食べるために作り始めて約90年になります。1985年に一人のシェフから「店で出したい」と請われ、1986年に製品として売り始めました。沿革を見る

マイナス2℃

氷温帯で約4週間かけて熟成

10kg → 約6kg

水分が抜けた分だけ、味が濃くなります

二年乾燥のオーク

薪と炭の直火・温燻。火加減は職人が見ます

塩漬液に浸して塩せきします。短時間で仕上げるインジェクション(注入)もタンブリングも行いません。水を足して重量を戻す工程がないぶん、身が締まります。製法を見る

EVALUATION

1 ITIダイヤモンド賞(最高位)
2 優秀味覚賞 三ツ星 7年連続(2020〜2026)
3 DLG(ドイツ農業協会)金賞
4 1997年から2026年までに、テレビ・新聞・雑誌・ラジオで112件(雑誌・書籍50件、テレビ47件、新聞10件、ラジオ5件)
5 2017年から毎年、全国の百貨店の北海道物産展などに出店(2025年は25回)

受賞実績を見る / メディア掲載112件を見る

ハムやベーコンは、古くから岩塩を使って作られてきた保存食です。ワインづくりに古くから亜硫酸塩が使われてきたように、ハムやベーコンは亜硝酸塩の働きによって成り立ってきました(亜硫酸塩と亜硝酸塩は別の物質です)。私たちは「完全無添加」とは表現しません。岩塩に含まれる硝酸塩からできる亜硝酸塩を、ボツリヌス菌を防ぐため必要最小限だけ使用し、保存料・着色料・リン酸塩は使用していません。詳しくは「無添加ハムの本当の話」

FOR THIS PAIRING

アスパラに巻くなら、薪・炭火仕上げ ベーコンスライス 90g です。

厚さ約2mmのスライスなので、アスパラに巻いて焼くとちょうど縮み代がそろいます。

薪・炭火仕上げ ベーコンスライス 90g を見る