燻製材のお話し その2

前回の燻製材のお話しの続きです。

私どもが用いる主な燻製材は、ナラやカシワ。
特に北海道産のナラは、木材として世界的に見ても高い評価を得ているものです。
(ジャパニーズオークとして、海外で珍重されているそうです)

木を切り倒して、乾燥させれば、燻製材として使えるんですね。
とも思われますが、実はこの木をきるのにも、時期を選ぶ必要性があります。

というのも、木も生物である以上、
根から水を吸収して生きております。
ですので、木材に含まれる水分が多いと、燃えにくいのはもちろん、
渋みや苦みなど、いざ燻す時の煙の成分中に、
予想だにしない数々の複雑要素が含まれてしまい、
味自体も大きく変化させてしまう場合があります。

そこで、私たちは活水水分量が少なくなる凍れる時期の11~2月頃に
切り倒した木材を約2年間自然乾燥。

こうやって、時間をかけて燻製材として用意したものを用いると、
燻製した時に風味が良くなって、美味しさも増すことを長年の経験からも知りえております。
(職人たちは、薪を外観や質感で、燻製材として適しているのかどうかも判断できます)

ちなみに、この私たちの「薪」を用いた燻煙法ですが、
ドイツではかなり古くからおこなわれてきたものですが、
先述のとおり、燻製材そのものの徹底した保管管理にはじまり、
燻製する際には、マイスター(職人)によって、その日の室温や外気温、
湿度の状態によって、燻煙時間の長短をつけたり、
燻製室の温度管理を管理する必要があることから、
大変手間や時間がかかるため、現代ではドイツでも行われなくなってしまいました。

ですから、扱いやすい「チップ」をガスや電熱器で燻す製法が世界的に主流となりましたが、
私たちは、この「薪・炭火仕上げ」という製法は、
ハム・ベーコンが美味しくなるのに必要な「エッセンス」のひとつと考え、
これから大事に次世代へと受け継いでいきたいと思います。