ハム、ベーコン作りというと
1.「肉の塊を塩漬け」
2.「適度に熟成」
3.「燻製」(燻煙法については、次回ブログ現場見学会「燻煙法」で)
と思われている方が大半かと思います。ほぼ正解です。
何はともあれ、古来から伝わる正統派の作り方はどんなものかというと自然熟成法によるもので、
1.「肉の塊を塩漬」
2.「4℃の温度で一週間自然熟成」
3.「薪・炭火による燻煙仕上げ」(チップではありません)
これが、昭和初期頃(1920年頃)まで世界的に行われてきた基本的な作り方だったようです。
さて、現在入手できるハムベーコンの製造法はといいますと3つくらいに分かれます。
●一般的に流通しているハムベーコンの製法
(近代的な注入法)
約半世紀ほど前から「塩漬法」よりも熟成期間を短縮する(厳密には味付け)ことで、時間短縮及び回転数をあげる効率的な「注入法」を用いた作り方へと変化しました。
注入法とは、肉に注射を打って、塩漬液を注入。毛細血管が複雑に入り込んだ赤身の部分を中心に味付けされるような手法です。(毛細血管の少ない脂身はほとんど染み 渡らない)ついでに水増しも可能となり、歩留まりも良くなり一石三鳥となりました。
ただし、熟成されていないため、味は二の次、脂身も熟成が進まないため、過熱した際に溶けにくいなどの点もありますが、大量生産できるという典型的な工業製品の作りかた となったのです。
●本場ヨーロッパのマイスター達が行う近年の製法
(自然熟成+注入法)
「古典的な自然熟成による塩漬法」と「近代的な注入法」をかけあわせた作り方で作るのが、本場、欧州で標準的な製法となりました。労働時間も日本よりも短いものですから、現在では古典的な作り方をしているところは殆どいないようです。 塩漬に3日、注入して更に4日程度の長くて7日間程で出荷というものが多いようです。10Kgの原材料から、製品として10Kg以上に増えなければ、水増しではないという見解もあるようです。
●私共が考える理想的なハムベーコン作り
(自然熟成から独自の長期熟成へ)
良質の豚肉を主原料に、秘伝の塩やスパイスの配合を行い、肉を塩漬します。因みに私たちは-2度(氷温)で四週間も熟成を行います。そうすることにより、赤身の部分だけではなく、脂身まで味が染み渡ったうえ、氷温熟成によって、たんぱく質が旨み成分であるアミノ酸に変わって、より美味しくなります。反面、歩留まりが悪く、10Kgの原料からわずか6Kg程度しか製品になりません(悲)。
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#これら、水を注入式による作り方かどうかの見分け方には幾つか方法があります。
●その1:『脂身を食す』⇒脂身を食べてみて、美味しくない場合は自然塩漬ではなく、注入式の可能性が高いです
●その2:『凍らせる』⇒ハムやベーコンを冷凍・解凍すると、やたらと水が出てきて、肉と肉の間に隙間が出来てスカスカになるようであれば、間違いありません
●その3:『焼く1.』⇒ベーコンやハムを焼いたときに脂が溶けやすいかどうか、溶けにくい場合は熟成が進んでおりませんので、ほぼ注入式かと。
●その4:『焼く2.』⇒:焼いたときに、やたらと水分が出てきて、弾け飛ぶようであれば、ほぼ間違いありません。
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国内のハムメーカーの大半は工場見学を行えません。それには理由があって、先に記載した作業を見られることを嫌がるのです。
では、「エーデルワイスは工場見学できるの?」。はい、喜んで…と言いたいところですが、20年以上も前に建てた工場ですから、見学するための施設仕様にしていなかったため、取材や衛生責任者等ごく限られた方々にわざわざ白衣に着替えてもらって、限定的なご案内に留めさせてもらっておりますが、隠すものは何も無いので、かなりの頻度でTV取材や新聞取材など受けております。
新しい工場を建てる際には、見える化を図りますので、楽しみにしていてくださいね!