BACON ÉPI
粉80g、ボウルひとつ。ベーコンを1枚まるごと巻き込んで、はさみで切れ込みを入れれば、麦の穂の形をしたベーコンエピが1本焼き上がります。
ベーカリーSomeLのブーランジェ・野崎寛人(ひろと)がつくる、エーデルワイスファームのベーコンをたっぷり使ったレシピです。
特別な道具はいりません。使うのは、ボウルとゴムベラ、はさみ、そして家庭のオーブンだけです。
IN A WORD / ひとことで言うと
エピ(épi)はフランス語で「麦の穂」。フランスパンの生地でベーコンを包み、はさみで斜めに切れ込みを入れて左右に振り分けると、穂の形になります。このレシピは粉80gの少量仕込みなので、パン作りが初めてでも1本から試せます。
SUMMARY / この記事でわかること
▲ 生地のこね具合、ベーコンの重ね方、はさみの角度は、動画で見ると早いです。
ベーコンエピとは|麦の穂の形をしたフランスパン
エピは、バゲット生地に具材を巻き込み、はさみの切れ込みで麦の穂を模した形に仕上げるフランスパンです。
ベーコンを巻いたものが「ベーコンエピ」で、日本のベーカリーでも定番になっています。
形が複雑に見えますが、成形でやることは3つだけです。生地にベーコンをのせる、包む、はさみで切って左右に振る。
この3つができれば穂の形になります。むずかしいのは形ではなく、その前の生地づくりのほうです。
このレシピの特徴|粉80gの少量仕込み
一般的なバゲットのレシピは、粉250g〜500gが単位です。このレシピは粉80g、エピ1本分。
失敗しても損失が小さく、こねる量も少ないので、台の上での作業が10分で終わります。
← 表は横にスクロールできます →
| 加水率 | 71%(粉80gに対して水57g) |
| ドライイースト | 0.125%(0.1g) |
| 塩 | 1.75%(1.4g) |
| 発酵の合計 | 約3時間20分(一次60分+60分、最終60分ほか) |
| 焼成 | 230℃・20分 |
※ 粉の重さを100%として、他の材料の割合を示す「ベーカーズパーセント」で表記しています。
ドライイーストが0.1gというのは、市販のレシピと比べてかなり少ない量です。
イーストを減らして時間をかけると、発酵の途中で生まれる香りの成分がゆっくり蓄積します。かわりに、待つ時間が長くなります。
作業そのものは合計30分ほど、残りは待っているだけです。
ベーコンエピの材料(1本分)
- エーデルワイスファームのベーコンスライス 3〜4枚
- 中力粉(準強力粉) 80g
- ドライイースト 0.1g
- 塩 1.4g
- ブラックペッパー 適量
- 水(ぬるま湯) 57g
※ 中力粉がなければ、強力粉50g+薄力粉30gを合わせても作れます。
※ お好みでマスタードを使います(成形のときに塗ります)。
※ アレルギー:小麦、豚肉を使用します。
作る前のチェックリスト
ベーコンエピの作り方|3ステップ
生地をつくる(約2時間35分)→ ベーコンを巻いて発酵させる(約1時間10分)→ 焼く(20分)。この3つに分けて進めます。
※ 作り方の流れをわかりやすくした模式図です。
STEP 1|生地づくり(約2時間35分)
- ボウルに中力粉80gと水57gを入れ、粉気がなくなるまでゴムベラで混ぜます。なめらかにする必要はありません。
- ラップをして20分おきます。この間に粉が水を吸い、生地がつながりやすくなります。
- ドライイースト0.1gと塩1.4gを加え、ドライイーストが見えなくなるまで、切るように混ぜます。
- 台の上に出し、10分ほどよくこねます。引っぱって薄く伸ばしてもすぐにはちぎれない状態が目安です。
- 生地を丸めてボウルに戻し、ラップをして60分ねかせます。
- 粉をふった台に生地を出し、手のひらでガス抜きをして三つ折りにします。
- ボウルに戻してラップをし、もう60分ねかせます。
- 6と同じように、もう一度ガス抜きをして三つ折りにします。
※ 発酵時間は室温で変わります。最後は生地の状態で判断してください(見分け方は「失敗しないための5つのポイント」に書きました)。
STEP 2|成形・ベーコン登場(約1時間10分)
- 生地を台に出し、長方形に軽く伸ばして、ベーコンスライスを3〜4枚のせます。ベーコンの端と生地の端を合わせるのがポイントです。
- ブラックペッパーを全体にふります。お好みでマスタードを塗ってもかまいません。
- ベーコンを包むように、両端の生地をかぶせて形を整えます。
- 閉じ目を下にしてオーブンの天板にのせ、濡れタオルをかぶせて60分発酵させます。
※ 最終発酵の残り15分ほどで、オーブンの予熱(230℃)を始めると流れがつながります。
STEP 3|切れ込みと焼成(20分)
- はさみで斜めに切れ込みを入れ、切り離した部分を左右交互に倒して、麦の穂の形をつくります。
- 表面に霧吹きで水をかけます。
- 230℃のオーブンで20分焼きます。
焼き上がったら天板から出し、網の上で冷まします。天板にのせたままだと、底に蒸気がこもって皮が湿ります。

失敗しないための5つのポイント
1. ベーコンの端と生地の端を合わせる
ベーコンを生地の中央にきれいに並べたくなりますが、そうすると両端の3〜4cmがベーコンなしのパンになります。
端を合わせて置くと、どこを切ってもベーコンが入ります。このレシピでいちばん効く一手です。
2. 発酵は時計ではなく生地で見る
イーストが0.1gと少ないぶん、室温の影響を受けやすくなります。夏場は早く、冬場は遅くなります。
一次発酵はひとまわり大きくふくらみ、指で押すとゆっくり戻る状態。最終発酵はひとまわり大きくなり、表面がふっくらしている状態が目安です。
時間より、この見た目を優先してください。
3. はさみは寝かせて、深く入れる
はさみを立てて浅く切ると、焼いても穂が開きません。刃を生地に対して寝かせ、切り離す手前まで深く入れます。
切ったらすぐ左右に倒します。倒す動きまでが1回の作業です。
4. 予熱は230℃まで上げきってから入れる
庫内が温度に届かないまま入れると、生地がふくらみきる前に表面が固まります。穂が開かないまま、焼き色だけがつきます。
予熱完了の音が鳴ってから、さらに数分待つと確実です。
5. 焼けたら天板から下ろす
皮のカリカリは、焼き上がりから冷めるまでの数分で決まります。網にのせて、下からも湯気を逃がしてください。
安全においしく作るために
- ベーコンは使う直前に冷蔵庫から出します。生地の発酵を待つ数時間、一緒に室温に置かないでください
- 保存期間は冷蔵で14日、冷凍で約1ヶ月です。開封後は早めにお使いください。食べ方や加熱の要否は、商品パッケージの表示をご確認ください
- 生地をさわる前後は手を洗います。発酵中にラップや濡れタオルをかけるのは、乾燥を防ぐためです
- 230℃の天板・オーブン扉はやけどの原因になります。ミトンを使い、取り出すときは顔を近づけないでください
- 切れ込みは、天板を庫外に置いた状態で入れます。庫内で作業すると手の甲を熱源に当てやすくなります
- アレルギー:小麦、豚肉を使用します。マスタードを使う場合はからしも加わります
なぜエーデルワイスファームのベーコンなのか
エピは、生地の材料が粉・水・塩・イーストの4つだけです。味の輪郭をつくるのは、巻き込んだベーコンのほうです。
230℃で20分焼くあいだ、ベーコンは高温にさらされます。どんなベーコンを使うかで、焼き上がりの香りは変わります。
OUR METHOD / 私たちのつくり方
約1ヶ月の氷温熟成をかけたのち、カシワやナラの薪と炭火で温燻(おんくん・30〜60℃前後の比較的低い温度でかける燻煙)に仕上げています。1920年代のドイツの文献に基づく製法を、いまも続けています。
第三者の評価
味の感じ方には個人差があります。私たちの言葉だけでは判断しにくいと思いますので、外部の審査結果を挙げておきます。
- iTQi 国際味覚審査機構(ITI)ダイヤモンド味覚賞(2026年6月)/10年間で三つ星を7回受賞した製品に授与される賞です
- DLG(ドイツ農業協会)国際食品品質競技会 金賞(2020年〜2024年)
- 北のハイグレード食品 Sランク(2017年)
受賞歴の一覧は受賞歴のページにまとめています。
つくった人
このレシピを考えたのは、ベーカリーSomeLのブーランジェ(パン職人)・野崎寛人(ひろと)です。
エーデルワイスファームは1929年、北海道十勝の広尾町で創業しました。二代目・野崎健美が氷温熟成の製法を確立し、現在は三代目の野崎創(はじめ)が北広島市で製造を続けています。
ベーカリーSomeLは、その系列としてパンを焼いています。
焼けたエピを、どう食べるか
焼きたてはそのままで十分ですが、翌日以降はトースターで2〜3分温め直すと、皮のカリカリが戻ります。
粗熱が取れてから、1本をラップで包んで冷凍しておくこともできます。
- 朝食に:スープを添えて。ベーコンの塩気があるので、スープは薄めでちょうどよくなります
- おつまみに:粗く割って、粒マスタードとビールやワインと
- アレンジ:成形のときに、ブラックペッパーと一緒に粉チーズをふる/マスタードを塗る
ベーコンエピに関するよくある質問
ドライイースト0.1gは、どうやって量りますか
0.01g単位のデジタルスケールを使うのが確実です。持っていない場合は、ドライイースト1gを水10gに溶かし、その1gぶん(1ml)を使う方法があります。
目分量で多く入れると、発酵が早く進み、香りが単調になります。
中力粉がありません。強力粉だけでも作れますか
強力粉50g+薄力粉30gを合わせると、中力粉に近い状態になります。強力粉だけでも焼けますが、皮が厚くなり、歯切れが変わります。
発酵時間は季節で変わりますか
変わります。イーストの量が少ないぶん、室温の影響が大きく出ます。記載の時間は目安として、生地のふくらみ方で判断してください。
ベーコンはブロックでもいいですか
ブロックを使う場合は、2〜3mm程度に薄くスライスしてください。厚いままだと生地が包みにくく、焼き上がりで隙間ができます。
切れ込みを入れたのに、穂が開きません
切り込みが浅い場合と、予熱が足りていない場合が考えられます。はさみは寝かせて、切り離す手前まで深く入れてください。
オーブンが230℃まで上がりません
設定できる最高温度で予熱し、焼き時間を2〜3分長めにとって、焼き色を見ながら調整してください。
2本、3本とまとめて作れますか
材料をそのまま倍にすれば作れます。焼くと横にふくらむので、天板に並べるときは間隔を広めにとってください。
焼いたあと、どのくらい保存できますか
当日中に食べきるのがおすすめです。翌日以降に回す場合は、粗熱が取れてからラップで包んで冷凍してください。
この記事に出てきた用語
GLOSSARY
- エピ(épi):フランス語で「麦の穂」。切れ込みで穂の形に仕上げたパンを指します
- 準強力粉:たんぱく質量が強力粉と薄力粉の中間の小麦粉。フランスパン向けの配合が多くあります
- 加水率:粉の重さに対する水の割合。このレシピは71%です
- ベーカーズパーセント:粉を100%として、他の材料の量を割合で示す表記方法
- ガス抜き・三つ折り:発酵で生じたガスを抜き、生地を折りたたむ作業。生地の力が強くなります
- 温燻(おんくん):30〜60℃前後の比較的低い温度でかける燻煙の方法
- 氷温熟成:0℃から食品が凍り始めるまでの温度帯で寝かせる方法。当ファームのベーコンは約1ヶ月かけています
まとめ|粉80gから始めるベーコンエピ
- 粉80g・水57g・イースト0.1g・塩1.4gで、エピが1本焼けます
- 作業は合計30分ほど。残りの3時間半は待ち時間です
- ベーコンの端と生地の端を合わせると、端まで具の入ったエピになります
- はさみは寝かせて深く。予熱は230℃に到達してから
- 生地の材料が4つだけのパンなので、ベーコンの香りがそのまま出ます
記事で紹介した商品
※ 価格は2026年8月15日時点のものです。いずれも冷蔵便でのお届けとなります。賞味期限は冷蔵14日、冷凍で約1ヶ月です。
ハム・ベーコン エーデルワイスファームのYouTubeチャンネルでは、おすすめレシピやお召し上がり方の動画を公開しています。チャンネル登録をお願いします。


