削りたてのベーコン節®を、機械で瓶に詰めようとしたことがあります。削りは詰まり、機械は止まりました。
この記事は、当ファームがベーコン節®の瓶詰めを、あえて職人の手作業に戻した理由の話です。
効率化を目指した機械が何につまずいたのか、そして手作業に戻したことで何を守れたのかを書きます。
ベーコン節®が少しだけ高いのは、機械では詰められなかったからです。
自動化という近道を試した
ベーコン節®を商品化するとき、最初に立ちはだかったのは瓶詰め作業でした。鰹節と同じように、自動充填機で効率よく瓶に詰められるはずだと考えていました。削り節の充填はすでに確立された技術で、当ファームもその流れに乗るつもりでいたのです。
ところが、試作を始めてすぐにつまずきました。削りたてのベーコン節®を機械に流すと、内部で詰まり、スムーズに動かなくなったのです。
THE PROBLEM
原因は、鰹節にはない脂肪分でした。豚肉を原料とするベーコン節®は、削った瞬間に微細な脂が表面ににじみ出ます。摩擦や静電気の影響でその脂が削り同士をくっつけ、機械の中でダマになってしまうのです。

鰹節にはない、脂という個性
サラサラと乾いた鰹節と同じ工程を思い描いていた分、この性質には悩まされました。ベーコン節®は氷温熟成を経てもなお脂の潤いを保っていて、それこそがこの商品の香りとコクの源です。乾かしきらないからこそ美味しい。でも、乾かしきらないからこそ機械には向かない。この二つは、同じ一つの性質から生まれていました。
製法の細かな違いは、当ファームの製法比較の記事にまとめています。ここでは、その脂がどんな結末を招いたかを続けます。
手作業に戻す決断
試行錯誤の末、当ファームは自動化を断念し、瓶詰めのすべてを職人の手作業に戻しました。効率では機械に劣ります。それでも、この一手間を手放さなかったのには理由があります。
職人は一瓶ごとに削りの状態を確かめ、固まりができないよう少しずつ詰めていきます。静電気を防ぐために室内の湿度を管理し、専用の道具で削りをほぐしながら瓶へ送り込みます。瓶のふたを開けた瞬間、削りがふわりと舞い上がるのは、この手加減があるからです。機械で押し込めば、この軽さは潰れてしまいます。

少しだけ高い理由
ベーコン節®は、氷温帯での熟成を経て、原料の重量が凝縮されるまでじっくり仕上げます。手間のかかる熟成期間と、機械化を断念して人の手に委ねた瓶詰め。この二つの手間が、価格に上乗せされています。
「なぜ少し高いのか」と聞かれることがあります。効率を優先すれば、もう少し安くできたかもしれません。ですが当ファームにとって、この価格は数字ではなく、人の手と時間の積み重ねの証です。機械では詰められないからこそ、人の手が必要になります。だからこそ、削りの軽さと香りが、瓶を開けたその瞬間まで保たれます。

保存は直射日光と高温多湿を避ければ常温で構いませんが、開封後は風味が飛びやすいため、冷蔵庫に入れ早めに使い切ることをおすすめします。常温で持ち運べるため、手土産やギフトとしてもよく選ばれています。
まとめ
EPILOGUE
効率よりも、瓶を開けた瞬間の軽さを。
ベーコン節®が少しだけ高いのは、そのひと瓶に職人の判断が宿っているからです。
