こんにちは。北海道北広島市のエーデルワイスファームです。
「無添加のハムやベーコンのほうが、安全なのでは?」
「発色剤や亜硝酸塩と書かれていると、少し不安になる」
健康や食の安全を大切に考える方ほど、そう感じるのは自然なことだと思います。
しかし、私たちは単純な二つの基準だけで食品を判断していません。「無添加だから安全」「添加物があるから危険」とは言えないからです。
食品の安全性は、特定の原材料だけで決まるものではありません。製造工程の全体がそろって、初めて安全性が成り立ちます。
具体的には、原料肉の状態や製造環境が重要です。塩分や加熱、乾燥の度合いも関係します。さらに水分活性や包装、保存温度、賞味期限も不可欠な要素です。
エーデルワイスファームでは、保存料、着色料、リン酸塩を使用していません。一方で、安全性と品質を考え、亜硝酸塩を必要最小限だけ使用しています。
なぜその選択に至ったのか、歴史と科学的なファクトを交えて誠実にお伝えします。
先に結論をお伝えします
- 「無添加」という表示だけでは、食品全体の安全性は判断できません。
- 亜硝酸塩は、ボツリヌス菌の抑制や酸化臭の抑制に深く関わります。
- さらに、塩せき肉特有の芳醇な香りと、自然な色彩を形成します。
- 直接添加していない商品でも、原材料由来の成分で亜硝酸反応が出る場合があります。
- 私たちは加水で肉を増やすリン酸塩を使わず、時間をかけて旨味を凝縮させています。

亜硝酸塩は歴史が育んだ「塩せきの知恵」
亜硝酸塩は近代の添加物ではありません。数千年に及ぶ「塩せき」の歴史の中で、人々が経験的に培ってきた大切な保存技術です。肉の保存性を高め、特有の風味や色合いを引き出す先人の知恵がその起源にあります。
岩塩や硝石に含まれていた天然の成分
亜硝酸塩は、見た目をよくするためだけに使い始めたものではありません。歴史の浅い添加物ではなく、肉を塩に漬ける技術には何千年もの歴史があります。
昔は純度の高い精製塩がありませんでした。当時人々が使っていた一部の塩や硝石には、硝酸塩が含まれていました。
その硝酸塩が、塩せき中の微生物の働きによって亜硝酸塩へ変わります。それが肉に優れた効果をもたらしていました。

※AIによるイメージ。実際の製品や当社の製造設備を撮影したものではありません。
経験から受け継がれた5つの恩恵
亜硝酸塩は、熟成中の肉に以下のような変化をもたらします。
- 肉の保存性を大きく高める
- ボツリヌス菌の増殖を強力に抑える
- 好ましくない肉臭や脂の酸敗臭を抑える
- ハム特有の芳醇な香りを形成する
- 加熱後にも肉らしい淡い赤みを残す
当時の人々は、化学的な仕組みを知りませんでした。それでも経験を重ねる中で、特定の塩を使うと保存性が高く、香りのよい美味しい肉に仕上がることを知りました。その優れた技術を、何世代にもわたって受け継いできたのです。
亜硝酸塩の働きは、何百年、さらにその源流をたどれば何千年にも及ぶ塩せきの知恵の中で、経験的に培われてきたものです。
科学的な管理によって高められる安全性と品質
現代の食品科学は、塩せきの仕組みを精密に解き明かしています。成分量の不確実な天然塩だけに頼るのではなく、純度が確認された亜硝酸塩を1ミリグラム単位で正確に管理することが、安定した品質に繋がります。
天然素材のばらつきを克服する
昔は、塩や硝石にどれだけ硝酸塩が含まれているかを測れませんでした。産地や採取場所によって成分量が異なっていたからです。そのため、塩せきの効果にもばらつきがありました。
その後の研究で、硝酸塩が亜硝酸塩へ変わるプロセスが判明しました。この亜硝酸塩が、肉の安全性や香り、風味、色に重要な役割を持つことも明らかになったのです。
伝統の知恵を現代の技術で守る
現代では、成分量の分からない天然素材だけに安全性を任せません。純度が確認された亜硝酸塩を、法令に基づいて正確に計量しています。
必要最小限の亜硝酸塩を使うことは、昔の製法を捨てることではありません。長い歴史の中で培われた塩せきの知恵を、現代科学によって守る取り組みです。より正確に、安定した品質でお客様へ受け継ぐための誠実な選択です。
致命的な食中毒を未然に防ぐ「ボツリヌス菌」への対策
亜硝酸塩を使用する最も重要な目的は、強力な毒素を作るボツリヌス菌の増殖抑制です。衛生管理、塩分、加熱、冷蔵に加え、亜硝酸塩が「最後の砦」として機能することで、肉製品の安全性が格段に高まります。
真空包装の裏側に潜むリスク
亜硝酸塩を使用する重要な理由の一つが、ボツリヌス菌への対策です。ボツリヌス菌は土壌など自然環境に広く存在しています。
この菌は酸素が少ない環境を好みます。そのため、真空包装などの条件下において、食品中で強い神経毒素を作る可能性があります。
複数のハードルで食の安全を守る
ハムやベーコンの安全性は、亜硝酸塩だけで成立するものではありません。徹底した衛生管理や、適切な塩分濃度が必要です。さらに確実な加熱や冷蔵管理なども組み合わされます。
それらと同時に亜硝酸塩が働くことで、菌の増殖や毒素の産生を強力に抑えます。安全性を担保する防衛網において、非常に重要な役割を担っているのです。
ドイツ連聯リスク評価研究所(BfR)や欧州食品安全機関(EFSA)などの公的機関も、その重要性を説明しています。亜硝酸塩がボツリヌス菌の広がりを効率的に抑え、予防に寄与することを公式に表明しています。
- ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)「食肉製品における亜硝酸塩および硝酸塩の評価」(ドイツ語/PDF)
- 欧州食品安全機関(EFSA)「食品添加物としての硝酸塩および亜硝酸塩の安全性再評価について」(英語)
脂質の劣化を防ぎ、肉本来の旨味を引き立てる「酸化臭の抑制」
亜硝酸塩は、保存や加熱によって生じる脂質の酸化や不快な獣臭を抑える役割も担っています。嫌な臭いを消すのではなく、肉と塩、熟成の調和を促し、ハムやベーコン特有のふくよかな香りを形成するのです。
お肉の鮮度と風味を守る働き
亜硝酸塩の役割は、食中毒対策と発色だけではありません。食肉の脂質は、保存や加熱の過程で徐々に酸化していきます。
脂質が酸化すると、酸敗臭が発生します。再加熱した肉に感じられる、好ましくない臭いの原因になります。亜硝酸塩には脂質の酸化を抑え、こうした風味の劣化を抑制する作用があります。
お肉本来の香りを引き出す触媒
分かりやすく言えば、肉の獣臭や生臭さを抑え、香りを整える働きです。単に嫌な臭いを覆い隠すのではありません。
肉と塩、そして熟成によって生まれる成分が綺麗に反応します。これにより、ハムやベーコン特有のまとまりのある香りと味わいを形成します。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)も、主要な目的として「塩せき香」の形成を挙げています。
着色料ではない、肉本来の色素が咲かせる自然なバラ色
加熱後もハムらしい淡い赤色が保たれるのは、着色料ではなく肉本来の色素「ミオグロビン」と亜硝酸塩が結びつく化学反応によるものです。外から色を塗るのではなく、肉本来の美しさを内側から定着させます。
お肉自身の色素を引き出す仕組み
生の豚肉が持つ赤色は、そのまま加熱すると褐色へ変化します。グレーがかった色になってしまうのです。
しかし塩せきした肉では、亜硝酸塩から生じる一酸化窒素が働きます。これが肉の色素であるミオグロビンと反応します。その結果、加熱後にもハムやベーコン特有の淡い赤色がしっかり残ります。

内側からの自然な輝き
これは着色料で外から付けた色ではありません。肉自身の色素と塩せき成分の反応によって生まれる自然な色です。
職人が見守る熟成と燻煙の工程を経て、美しいバラ色の輝きが定着します。そのため、エーデルワイスファームでは着色料を一切使用していません。
私たちが約40年間「無添加」に挑み続け、出した答え
私たちは40年間、亜硝酸塩不使用や植物原料を幾度も試作しましたが、理想とする味や香りに届きませんでした。味, 風味, 安全性のすべてでお客様に妥協のない美味しさを届けるための、職人の実直な選択です。
幾度となく繰り返した無添加の試作
私たちは、無添加のハムやベーコンを初めから否定していません。実際にこの約40年間、亜硝酸塩を使わない製法を何度も試してきました。
亜硝酸塩を使わないシンプルな試作だけではありません。セロリパウダーなどの植物由来原料を使う方法にも熱心に取り組んできました。
それでも、残念ながら品質が届きませんでした。私たちが長年作り続けてきた、誇りあるハムやベーコンの味にはならなかったのです。
理想とする美味しさを妥協しない
私たちの試作では、亜硝酸塩を適切に使用した製品と比べて違いが出ました。肉特有の臭いが残りやすく、ハムらしい豊かな風味が十分に引き出せなかったのです。
色合いにもくすみが生じ、私たちが「美味しい」と確信できる仕上がりには至りませんでした。
これは、世の中にあるすべての無添加ハムやベーコンがおいしくないという意味ではありません。
あくまでも、私たちが自社の原料、設備、製法、目指す味を基準に、長年試作を重ねた結果です。
セロリパウダーでも、管理が不要になるわけではありません
セロリパウダーなどの植物由来原料には、硝酸塩が含まれる場合があります。その硝酸塩が製造工程の中で亜硝酸塩へ変化すると、肉の発色や風味形成に働くことがあります。
「亜硝酸ナトリウムを直接添加していないこと」と、「完成品中に亜硝酸塩が存在しないこと」は、必ずしも同じではありません。
私たちがセロリパウダーを使って試作した際にも、完成品中の亜硝酸反応を継続的に確認し、管理する必要がありました。
植物由来原料は、産地や収穫時期, ロットによって含まれる硝酸塩の量が一定ではありません。そのため、狙った品質と安全性を安定して保つために、より多くの検査や手間、費用が必要になりました。
「植物由来だから管理しなくてよい」のではありません。
最終製品中に何がどの程度存在するのかを把握し、品質と法令上の基準を守る必要があります。
アメリカでも「無塩せき」という表示が議論になりました
セロリパウダーなどの植物由来原料を使った商品は、アメリカで「Uncured(無塩せき)」などと表示されてきました。
しかし実際には、植物由来の硝酸塩が亜硝酸塩へ変化します。そのため、通常の塩せきと同じように肉の保存性や風味に作用します。
このためアメリカでは、「無塩せき」と表示することは消費者に誤解を与えるのではないかとして、表示制度の見直しを求める動きが起きました。米国農務省の資料でも、こうした天然由来原料を使った商品の表示制度が示されていますが、消費者団体からは変更を求める申立てが提出されています。
味だけでなく、保存性と販売方法にも課題が残りました
亜硝酸塩を使わない試作品では、私たちが求める保存期間を確保することも難しくなりました。保存料を使わない方針のため、賞味期限が非常に短くなってしまうのです。
私たちの試作条件では、一定の品質を保つために、冷凍状態で提供することも検討せざるを得ませんでした。しかし、冷凍や解凍の過程で肉の細胞が傷つき、旨味が逃げてしまうなど、美味しさの面で大きな課題が残りました。
味、香り、色、保存性、検査、製造コスト、販売方法。これらを総合的に検討した結果、私たちは現在も、「亜硝酸塩を使わないこと」だけを目的とした商品化には結論を出せずにいます。
必要なものを、必要最小限、正しく使う
私たちは、「無添加」という表示をゴールにしていません。まず目指しているのは、心からおいしいと思えるハムやベーコンを作ることです。そして、そのおいしさを、高い衛生管理のもとでお客様へ届けることです。
そのため、亜硝酸塩については役割と安全性を理解したうえで、法令の基準を守り、必要最小限の使用にとどめています。一方で、保存料、着色料、リン酸塩は使用していません。
使わないことだけが、誠実なのではありません。
なぜ必要なのかを考え、必要なものだけを、適切な量で正しく使う。
それもまた、食品を作る者の責任だと私たちは考えています。
「無添加だから安全」とは限らない。本当に見るべき製造の基準
「無添加」という表示だけで食品の安全性は測れません。真に重要なのは、原料肉の衛生管理、加熱乾燥処理、水分活性の抑制、冷蔵コールドチェーンなど、製造から流通まで一貫した徹底的な安全管理の実行です。
言葉の響きよりも大切な管理体制
現在は、亜硝酸塩を使用しないハムやベーコンも国内外で作られています。しかし、使用していないという一つの事実だけで、一般的な製品より安全だとは判断できません。亜硝酸塩を使用しない製品だからこそ、より厳格な安全管理が求められます。
本当に見るべきなのは、「何を使っていないか」だけではありません。「どのような製法と管理で作られているか」という中身が重要なのです。
エーデルワイスファームが「リン酸塩」を使用しない理由
リン酸塩は肉に水分を保持させて重量(歩留まり)を増やす添加物です。私たちは、水を加えて重さを増やすのではなく、氷温熟成と薪炭直火の温燻によって水分を抜き、旨味を凝縮させる製法を守りぬいています。
加水によるかさ増しを行わない理由
私たちが亜硝酸塩を必要最小限使用する一方、リン酸塩を使用しないのは、両者の役割が根本的に異なるからです。
リン酸塩は、食肉の保水性を高める目的で使われることがあります。これを利用すると、肉に塩水などを加え、水分の流出を抑えることで完成品の重量を高めることが可能です。
原料肉の重量を人工的に増やすことも技術的には可能ですが、私たちはその方法を選びませんでした。

時間をかけて旨味と香りを凝縮する
私たちが選んできたのは、加水によって重量を増やす効率的な製法とは真逆の道です。
厳選した肉を約4週間、氷温帯でじっくり熟成させます。その後、2年間自然乾燥させたナラ材の薪と炭を使い、熟練の職人が温燻で仕上げます。
時間をかけるほど余分な水分は抜け、重量も減っていきます。それでも続けるのは、肉本来の旨み、引き立つ脂の甘み、薪と炭火の豊かな香りを大切にしているからです。
| 比較項目 | 加水・保水を重視する製法 | エーデルワイスファーム |
|---|---|---|
| 水分 | 加えた水分を保持する | 熟成と燻煙で水分が減る |
| リン酸塩 | 使用される場合がある | 一切不使用 |
| 目指すもの | 保水性と歩留まり | 肉の旨みと香りの凝縮 |
自分への特別なご褒美に。常温で長期熟成された奇跡の「ベーコン節®」
豚もも肉を原料に長期氷温熟成と温燻を施し、特殊なドライエイジングで水分活性を抑えた「ベーコン節®」は、常温で180日間保存可能です。口に入れた瞬間に上質な脂身がとろけ、濃厚な旨味が広がります。
水分を極限まで抑える伝統技術
エーデルワイスファームが本物の味を追求する中で生み出したのが、豚もも肉を原料とした長期熟成製品「ベーコン節®」です。
約4週間の長期氷温熟成ののち、薪と炭火で温燻を施します。さらに特殊なドライエイジング(乾燥)によって水分活性を極限まで低く抑えました。
この製法により、保存料を一切使用していないにもかかわらず、直射日光を避けた冷暗所で「常温180日間(約6ヶ月)」の保存を可能にしました。

手のひらの体温でとろける「淡雪」の体験
このベーコン節®を極限まで薄く削り出したのが、「ベーコン節 淡雪(AWAYUKI)®」です。
0.05mmを基準にした繊細な薄さに削られたその一枚を口に含むと、手のひらの体温で上質な脂身がふわっと溶け出します。薪の芳醇な香りと、凝縮された肉の旨味が広がります。まさに、自分への特別なご褒美にふさわしい贅沢な体験です。
なお、2026年10月には新商品として「細削り」および「華削り」のリリースを予定しています。こちらもぜひご期待ください(詳細は発売時に公式サイトにてご確認ください)。
※いずれの商品も開封後は賞味期限に関わらず早めに召し上がってください。通常のハムやベーコンは冷蔵保存し、長期保存時は冷凍保存(約2ヶ月可能)が推奨されます。
お口に入れた瞬間に広がる、薪の薫香ととろける脂身。
約4週間の長期氷温熟成と、薪・炭火直火の温燻によって水分を抜き、旨味を限界まで凝縮した伝統のベーコン。
さらには常温で180日保存可能な奇跡のおつまみ「ベーコン節®」。ぜひ極上のひとときをご自宅でお楽しみください。
※本記事は、食品およびその一般的な製造プロセスに関する科学的・客観的な情報の提供を目的としており、個人の健康状態や持病、食事制限に対する医学的な推奨・治療アドバイスを行うものではありません。アレルギーや疾患などによる食事上の個別のご不安がある場合は、かかりつけの医師、薬剤師、または管理栄養士などの専門家にご相談ください。
