スーパーで買ったハムを焼いたとき、「あれ? 水が出てきて縮んでしまった」という経験はありませんか?
実はそれ、お肉の水分ではなく、製造工程で足された「水」かもしれません。
私たちが日々口にしているハムは、製法によって大きく3つのタイプに分類されます。見た目は似ていても、その中身と安全性、そして味わいはまるで別物です。
本記事では、食の安全と美味しさを追求するエーデルワイスファームが提唱する「ナチュールハム」と、一般的なハムの違いについて、その裏側を包み隠さず解説します。
目次:本物のハムを見分けるために

加水ハム・保水ハム・ナチュールハムの違い
ハムの製法は主に3種類あります。水を注入して量を増やす「加水ハム」、保水剤で水分を保つ「保水ハム」、そして肉本来の水分のみで熟成させる「ナチュールハム」です。ナチュールハムは歩留まりが悪い反面、濃厚な旨味が特徴です。
ハムを選ぶ際、最も重要なのは「原材料の肉がどう加工されたか」を知ることです。それぞれの特徴を理解することで、あなたが選ぶべき「本物」が見えてきます。
| タイプ | 主な特徴 | 歩留まり(10kgの肉) | 味・食感 |
|---|---|---|---|
| 加水ハム (一般的) |
水・調味液を注入 保水剤を使用 |
12kg〜18kgに増える | 柔らかいが味が薄い 繊維感が乏しい |
| 保水ハム (業務用等) |
加水は控えめ 保水剤を使用 |
9kg程度を維持 | 食感は保たれるが 人工的な風味が残る |
| ナチュールハム (エーデルワイス等) |
加水なし・保水剤不使用 長期熟成のみ |
6kg〜8kgに減る | 濃厚な肉の旨味 自然な食感と余韻 |
加水ハムとは:量産のための技術
「加水ハム」とは、製造工程で肉に水や調味液を注入(インジェクション)して、リン酸塩(保水剤)なども併用して歩留まりを高め、製品量を増やす製法のことです。
効率的でコストを抑えられる一方、肉本来の旨味や繊維感が薄まりやすく、食感はやわらかくてもどこか平坦な印象になります。日本のスーパーでよく見かけるハムの多くは、このタイプです。短期間で大量に製造できるため、価格を抑えて安定供給できる点が大きなメリットですが、伝統的なハムとは異なる方向に進化してきたと言えます。
データで見る事実:
10kgの原料肉から、約12〜18kgの製品ができあがると言われています。
保水ハムとは:形を保つための工夫
一方の「保水ハム」は、加水こそ控えめですが、リン酸塩などの保水剤を加えることで肉の水分を保持し、加熱しても縮まないように工夫された製法です。
これにより見た目のボリュームや食感を保ちやすく、業務用としても使いやすい特徴があります。しかし、こうした添加物による人工的な調整は、風味や香りに微妙な違和感を残すことがあります。効率を重視する工業的生産には適していても、素材の生命力や時間の深みを味わうという点では限界があります。
こちらは一般的に、10kgの原料から9kg程度の歩留まりを確保します。
ナチュールハムとは:自然と共に育てる
推奨内容:熟成庫で吊るされている肉の様子、または薪炭直火燻製の炎。
時間が経過している重厚感のある写真。
私たちが目指す「ナチュールハム」は、そうした効率や合理性の対極にある製法です。加水もせず、保水剤も使わず、原料となる肉と塩、そして時間の力だけで仕上げます。
エーデルワイスファームでは、通常のハム作りの数倍にあたる「4週間の長期氷温熟成」を行います。熟成庫の中でゆっくりと眠る肉は、温度や湿度、空気の流れといった自然のリズムの中で、少しずつ旨味を深めていきます。それはまるで、季節の移ろいを味わいに変えていくような工程です。
外から何かを加えるのではなく、もともと肉の中に備わっている酵素やアミノ酸が、静かに働きながら旨味を育てていく。そこに私たちは「人が作る」というよりも、「自然と共に仕上げる」という感覚を大切にしています。
本物の証:
10kgの原料から、水分が抜け6〜8kg程度にまで凝縮されます。減った重量の分だけ、旨味が濃くなっているのです。
非効率だからこそ、本物の味が生まれる
ナチュールハムは、製造過程で重量が減り、完成までに1ヶ月近い時間を要するため極めて非効率です。しかし、この「時間」こそが、酵素の働きにより肉のタンパク質を旨味成分(アミノ酸)へと変化させる唯一の要素なのです。
ナチュールハムの製法は、効率の面では決して有利ではありません。水を加えない分だけ重量は減り、歩留まりも悪くなります。乾燥と熟成を繰り返す時間は、一般的な製法の何倍にも及びます。それでも私たちは、この手間を惜しみません。なぜなら、旨味というのは時間の中でしか育たないからです。
「無添加」の先にある、伝統的な安全の知恵
近年、「無添加」や「ナチュラル」といった言葉が氾濫していますが、私たちが考える“自然”とは、単に「何も入れない」ことではありません。自然の摂理に寄り添い、素材の中に潜む力を最大限に引き出すこと。それがナチュールハムの本質です。
私たちは何世紀と伝わってきた1920年代のドイツ製法の知恵を受け継いでいます。例えば、発色剤として忌避されがちな亜硝酸塩ですが、これはもともと植物や岩塩に自然に含まれていた成分です。古来、冷蔵庫のない時代に致死率の高いボツリヌス菌(国立感染症研究所解説)などの食中毒を防ぐため、先人たちが見つけ出した「命を守る安全の知恵」でもあります。
必要最低限の伝統的な知恵を借りつつ、化学的な保水剤には頼らない。それが私たちの誇る安全性です。
料理人に愛される理由と食の安全
推奨内容:ベーコンエッグ、またはハムを使ったシンプルな料理。
脂が溶け出している様子。
プロの料理人の方々からは、よくこんな声をいただきます。
- 「火を入れても旨味が逃げない」
- 「フライパンの上で水が出ず、カリッと焼ける」
- 「ソースの香りを邪魔しない」
ナチュールハムは、余分な水分(加水)を含まないため、加熱時に水が出て味が薄まることがありません。また、人工的な香りや添加物の後味がないため、ワインやチーズ、ハーブなどとの相性も非常に自然です。料理人が自分の感性をそのまま表現できる素材――それがナチュールハムなのです。
原点に立ち返るものづくり:エーデルワイスファームの約束
私たちは、ハムを「作る」ではなく「育てる」ものだと考えています。
肉の状態を見極め、塩を当て、北海道・北広島の冷涼な風を感じながら熟成を見守る。そこには、数字やマニュアルだけでは表せない感覚と経験が必要です。時には一日で大きく変化することもありますが、その変化こそが“生きた食品”である証。
薪炭直火燻製(しんたんじかびくんせい)という、オークやナラの薪を使った非常に手のかかる燻製法を守り続けるのも、それが最も肉の旨味を引き立てると知っているからです。
効率を追い求める時代だからこそ、手間をかけてでも本物を届けたい。ナチュールハムは、そんな職人たちの静かな誇りから生まれました。
大切な方へのギフト、ご自宅での贅沢に。
「本物のハム」の味を知ることは、食の豊かさを知ることです。
保存料に頼らず、長期氷温熟成で旨味を凝縮させたエーデルワイスファームのナチュールハムを、ぜひ一度ご賞味ください。
ナチュールハムに関するよくある質問
- Q. ナチュールハムは無添加ハムとは違うのですか?
- A. 広義には「無添加」に近いですが、私たちは単に添加物を抜くことよりも「伝統的な製法」を重視しています。安全のために必要最低限の岩塩由来の亜硝酸塩などは使用しますが、カサ増しのための「加水」や「保水剤」は一切使用していません。
- Q. スーパーのハムより賞味期限は短いですか?
- A. 水分活性を低く抑える(水分を抜く)長期熟成を行っているため、適切な冷蔵保存であれば日持ちは良い方です。開封後は、酸化を防ぐためにお早めにお召し上がりください。
- Q. どのように食べるのがおすすめですか?
- A. まずはそのまま、あるいは軽く炙る程度で、脂の甘みと香りを楽しんでください。余計な水分が出ないため、ベーコンエッグやパスタに入れても味がぼやけず、料理がワンランクアップします。
