OUR ROOTS ─ 第三章

2023年、ベーコン節®は正式にリリースされました。もも肉という答えにたどり着き、瓶に収まるまでの道のりは前編後編でお話しした通りです。

けれど、当ファームの研究はそこで止まりませんでした。リリースから1年、ベーコン節®の研究は6年目に突入していましたが、完成したとは思っていませんでした。もっとお手頃なパッケージは作れないか。もっと安定した生産量は出せないか。もっと美味しくできる余地はないか。誰も作ったことのない食材だからこそ、答え合わせをする相手が必要でした。

「二次情報よりも一次情報」。インターネットでどれだけ調べられる時代でも、現場を見て自分たちの手と工程に照らし合わせなければ分からないことがある——そう考え、生産現場を預かる工場長とともに、本場・鹿児島県指宿市への訪問を決めました。

ベーコン節®は、削ってはじめて燻香が立つ食材です。指宿で見ようとしていたのは、その「削って香りが立つ」ところまでを、どこまで極められるかという答えでした。

鹿児島県指宿市の削り節工場に積まれたかつお節

実際に足を運んだ、鹿児島県指宿市の削り節工場にて。

つてがないところから始まった

鰹節の生産現場を見学したくても、精肉加工と鮮魚加工では業種が離れていて、交流の機会はほとんどありません。つてがなく困っていたところ、20年来のネットビジネス上の友人が、偶然にも「指宿鰹節アンバサダー」の古川理沙さんだったことが分かりました。予想もしていなかった縁が、訪問を後押ししました。

北海道マイナス11℃、鹿児島19℃

訪問当日、北海道を発つときの気温はマイナス11℃。鹿児島空港に降り立つと19℃でした。気温差30℃。北と南でこれほど違うのかと、まず土地の違いを体感するところから訪問は始まりました。

空港から車で1時間半、鰹節の窓口ともいえる大川港へ向かいました。

大川港で見た、鰹の仕分け

大川港には巨大な処理施設があり、船が寄港すると一度に数十トンものカツオが運び込まれ、サイズごとに仕分けられていきます。生食用には脂の乗ったものが好まれますが、鰹節に向くのは脂が乗り過ぎず、少な過ぎない個体だと教わりました。

ここで、鰹の大きさによる呼び名の違いも知りました。大きなカツオは一尾から4本ほどが取れ、本枯れ節に向く「本節」と呼ばれます。それより小さいものは一尾のままひとつの鰹節になり、「亀節」と呼ばれます。同じ鰹節でも、原料の段階からすでに選別が始まっていたのです。

衝撃だったのは、二つの技術

現地でもっとも衝撃を受けたのは、二つの技術でした。

ひとつは「焙乾(ばいかん)」。朝から夕方まで燻煙にあて、自然に鎮火させて温度を下げると、鰹節の内部から外側へ水分がにじみ出てきます。これを翌日また燻煙にあてる——この工程を10〜15日間繰り返すことで、水分値は20%まで下がっていきます。何十年もかけて磨かれてきた、日本独自の技術です。

もうひとつは、当ファームがまだ扱っていなかった「カビ付け」という技術でした。本枯れ節に使われる、カビを付けては熟成させることを繰り返し、旨みを凝縮させていく工程です。焙乾が「今すぐ答え合わせできる技術」だったのに対し、カビ付けは「まだ手をつけていない、これからの技術」でした。

一度で仕上げず、燻して休ませてを10日以上繰り返す——ベーコン節®を削ったときに立ち上がる燻香の奥行きは、この「一度で終わらせない」という発想と地続きです。

今も、答え合わせの途中

現在、当ファームでは本枯れ節の技術を応用した「カビ付け」の研究を続けています。昨年は白カビを使ったものを試作し、今もその味の変化を試食しながら見極めているところです。まだ結論には至っていませんが、今後に向けた手応えを感じさせる仕上がりです。指宿で見たカビ付けという発想がなければ、この研究自体が始まっていませんでした。

砂蒸し風呂にも、初めて浸かった

旅の後記として、指宿温泉名物の砂蒸し風呂も体験しました。一生に一度は入ってみたいと思っていた砂蒸し風呂が、思いがけずこの訪問でかないました。

EPILOGUE

完成した、で立ち止まっていたら、この訪問はありませんでした。
答え合わせの相手は、いつもインターネットの中ではなく、現場にありました。
焙乾はすでに答えが出た技術、カビ付けはまだ答えの出ていない技術。
指宿での学びは、今も当ファームの中で進行形です。

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WHO MADE THIS

エーデルワイスファームは、北海道北広島市で薪・炭火仕上げのハム、ベーコン、ベーコン節®を製造しています。

ドイツの伝統的なハムとベーコンを、家族が自分たちで食べるために作り始めて約90年になります。ベーコン節®は、2018年の停電と経営難のさなかに生まれた着想から、その技術を土台に5年をかけて今の形にたどり着きました。

氷温帯 約1ヶ月
焙乾後、3ヶ月以上ドライエイジング
原料の約5分の1
脂を落とし、旨みだけを凝縮
常温180日
直射日光を避ければ持ち運べる賞味期限

EVALUATION

1 ITIダイヤモンド賞(最高位)
2 優秀味覚賞 三ツ星 7年連続(2020〜2026)
3 DLG(ドイツ農業協会)金賞
4 1997年から2026年までに、テレビ・新聞・雑誌・ラジオで111件(雑誌・書籍50件、テレビ46件、新聞10件、ラジオ5件)

受賞実績を見るメディア掲載111件を見る

ハムやベーコンは、古くから岩塩を使って作られてきた保存食です。私たちは「完全無添加」とは表現しません。岩塩に含まれる硝酸塩からできる亜硝酸塩を、ボツリヌス菌を防ぐため必要最小限だけ使用し、保存料・着色料・リン酸塩は使用していません。詳しくはこちら

FOR THIS STORY

この記事でお話ししたベーコン節®は、小瓶12gからお試しいただけます。料理の仕上げに、ひとふり。

ベーコン節® 小瓶12g を見る

参考資料・出典

本記事は、当ファームが2024年4月に公開した以下の記事の一次情報をもとに、時系列を整理し、書き直したものです。