History of Edelweiss Farm

エーデルワイスファーム 牛のエンブレムと高山植物エーデルワイスの紋章、Since 1933

本物のスローライフ・スローフードを
夢見て。

今から90年ほど前、北海道大学の寮歌に憧れた一人の青年が、十勝の原野を切り拓きました。 売るためではなく、家族で楽しむためだけに造り続けたハム・ベーコンが、 やがて世に出るまでの物語です。

サイロと牛が佇む牧場を描いた線画
1933 牧場を開墾 1985 シェフの要請 1986 商品化 2007 直売店オープン 2020〜 ITI三ツ星 7年連続
開墾期の創業者夫妻
開墾期の創業者夫妻

第一章

遠い昔の牧場時代から

コンビーフで知られる横浜の貿易商、野崎産業株式会社創立者の五男・健之助は、 「山と自然と動物を愛して」の北海道大学寮歌に憧れを抱き、北海道へ移住。 北海道大学に入学し、バターやチーズ、ハムやベーコンなどの畜産加工技術を実習しました。

その後、小樽祝津に「青山別邸」を築いたニシン漁網元の娘と出会い結婚。 (現会長の両親となる二人です。)いつしか二人は「家族で自然の生活を楽しみながら、 本当に美味しいものを作って食べる暮らしをしたい」という夢を持つようになり、 十勝・広尾郡広尾村(現・広尾町)に150ヘクタールもの原野を購入。 当時では珍しかったトラクターを導入して原野を開墾し、牧場経営を始めたのです。

食品加工に関わりのある家庭に生まれ、幼き頃より本物の味にふれて育った二人は、 “安全で美味しい本物の味”に大きな関心と信念を持ち、 家族と共に自分たち独自の生活・食文化を築いていきました。

※二人が開いた牧場は、山岳画家として知られる坂本直行氏が青年期を過ごした牧場でもあります。 昭和5年に初めて牧場を訪れた直行氏はその風景に心を奪われ、牧場での生活を喜びとしていました。 同氏の著書には、当時の牧場生活の喜びと厳しさが詳細に記されています。
雪の牧場に佇む牛たち
冬の牧場と牛たち

第二章

目指していたのはカントリーライフ

それは四季を通じて、様々なものを手作りして家族で楽しむ生活。

牛を育てては搾った牛乳からバターやチーズを作り、豚を育てては長い冬の保存食用に ハムやベーコン、ソーセージに加工。クリスマスには鶏やアヒルをローストチキンに。 そして羊から刈り取った毛ではセーターを。畑で収穫した大豆は味噌や納豆に、 小麦からはパンやビスケットを作り出す──今でいうスローフード・スローライフでした。

台所で家族が手作業でハムを仕込む様子
台所での手仕込み

第三章

売ることを目的とせず、
家族で楽しむためだけに生まれた味

そんな環境の中で幼き日々を過ごした現会長も、北大畜産学科食品加工を卒業し、 先代から受け継いだ製法で自家用にハムやベーコンを作り続けました。 その中で、“凍るか凍らないかの温度(氷温域)”で長期熟成すると、 肉だけでなく脂身まで驚くほど美味しくなることに気付き、 独自の「長期氷温熟成」を完成させたのです。

売ることを目的としたものではなく、家族で楽しむためだけに半世紀以上も手造りしていた ハム・ベーコンは、1985年、ホテルシェフの間で噂となり、 特に札幌グランドホテル料理長からこう強く要請されました。

「これだけのものは日本中を探してもまずないだろう、すぐにでも商品にしてほしい」

──札幌グランドホテル料理長

これがきっかけとなり、遠い昔の牧場時代から家族で手造りし、長く楽しんできた自家用品は、 1986年、初めて世に出ることになったのでした。

仕込み中のハムとベーコン、腸詰め
仕込み中のハム・ベーコン

第四章

販売開始直後は苦戦

私たちはどこにも負けない、美味しくて安全なものを作ることを第一に考えます。 50年以上も自家用のためだけに造ってきた私たちが、採算を度外視して 常識では考えられないほどの材料費と時間、手間をかけて作る製品は、 当時の地元では高級すぎたのかもしれません。 札幌のデパートの催事でも「確かにおいしいけれど、スーパーで売っているものと比べると 高すぎるわね」とよく言われました。今では考えられないことですが、 当時の北海道は「質」より「量」の時代でしたから、それも当然だったのかもしれません。

商品化から半年ほど経過した頃、東京のデパートから声がかかり、 ギフト催事と試食販売に出かけることにしました。すると、そのデパートの産直販売品の 売り上げベスト5にランクイン。その時、デパート担当者からかけられたひと言が、 私たちの自信を取り戻すきっかけとなったのです。

「今までに一番売れたハムメーカーの3倍くらい売れてるよ」

──東京のデパート担当者

これをきっかけに地元での販売をやめ、首都圏のデパート催事などでの販売を中心とするように なり、2年半ほど続けておりましたが、この間、中間経費の大きさを痛感しました。 「この“他にはない美味しさ”を、何とか低料金でお客様に提供する方法はないか」── これが次の大きなテーマとなり、直販による販売を開始。 今では独自の「氷温熟成」による私たちの製品は、“知る人ぞ知る隠れた逸品”として 少しずつ認知されるようになりました。

完成したロースハムの断面
完成したロースハム

第五章

知る人ぞ知る隠れた逸品に

おかげさまで、今では「他にはない高品質な製品」と非常に高い評価をいただけるようになり、 テレビや雑誌、新聞などでもご紹介いただく機会が増えました。 お客様に楽しんでお買い物をしていただけるよう、工房に併設して直売店をオープン(2007年) することもできました。北海道らしいのどかな田園風景が広がる直売店には、 決して便利とは言えない場所にあるにもかかわらず、毎日たくさんのお客様が 当社の製品を求めて足を運んでくださっております。

大変嬉しく、ありがたいことですが、私どもはこれに甘んじることなく、 度々ヨーロッパへ赴いて味の調査を実施し、新製品の開発とさらなる品質の向上を 目指しております。また、お客様にも喜んでいただけるような企画にも、 積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

近年、デパートをはじめ高級ショッピングモール等より出店依頼を多数いただいておりますが、 時期によって商品供給が間に合っていない現状をふまえ、お客様にご迷惑をおかけしないようにと、 すべてお断りさせていただいております。

現在、牧場の経営はしておりませんが、私どもは今も昔と変わらず 「スローフード・スローライフ」を目指しております。 北海道の自然の中でカントリーライフを楽しみながら、 皆さまに喜んでいただける製品づくりに、今後も努めてまいります。

90年の歴史が生んだ、いまの味を

1933年の開墾から、1985年のシェフの要請、そして世界が認めるまで。 物語の続きは、製法とともにお確かめください。