Concept

~ 幼き日の思い出 ~

牧場の四季

私たちの幼かった頃、一年はとても長く感じました。 牧場のなかには、広い山林や放牧地、畑があり、水源を異にする3本の小川が流れていました。 その川の一つには、ダムや自家用発電所があり、滝が音を立てて流れ、魚が沢山おりました。 これらは、子供達にとっては最高の遊び場でした。

牧場の全景を描いた水彩画。牛舎とサイロ、耕したばかりの畑と牧草ロール
遠い昔の牧場の風景(水彩画)
新緑の裏山と小川を描いた水彩画
裏山から見渡した新緑

雪解けと、種蒔きの音

まだ雪のあるうちに咲く福寿草、フキノトウから、牧場の春は始まります。 裏山に登るとはるか彼方まで見渡せ、コブシや桜の咲く頃には、 黄色の菜の花や緑の牧草、そして耕したばかりの黒褐色の土の色が、美しいコントラストを見せてくれました。

あちこちの牧場で大勢の大人たちが、馬を使って畝を切ったり、肥料や種を蒔くのが見えました。 陽炎の立つ畑の上、遥か高い空から、ひばりのさえずりが聞こえていました。

小川で遊ぶ子供たちを描いた水彩画
川遊びに夢中になった夏

牧草の香りと、トンボの空

夏の過ぎる頃には、牧草の収穫がありました。 初夏に刈られた牧草は干された後、人の手で集められ4メートル程の高さに積まれます。 十分乾かされた牧草はお盆の過ぎる頃、長い柄のフォークで大きな馬車に山のように積まれて牛舎の前に運ばれ、 キャリアーによって牛舎の二階に運び込まれました。

秋を感じさせる空には、沢山のトンボが飛びまわっていました。 この時期、山あいの風の当たらないところに植えられたプラムや野イチゴ、桑の実が子供達のおやつでした。

デントコーンの収穫風景を描いた水彩画。馬車と、収穫を見つめる子供
収穫を見つめた、実りの秋

実りの秋

サイロに積もる、一年分の恵み

霜のおり始める頃、デントコーン(牛に食べさせるトウモロコシ)の取入れがありました。 大勢の人達の鎌で根元から刈り取られたデントコーンは、馬車に乗せられてサイロの前まで運ばれ、 人手で大型のカッター(細かく刻んで高いサイロの上まで吹き上げる機械)に投げ入れられ、サイレージとなります。 サイロの中では、滝のように降り注ぐサイレージを、人手で平らに均しては踏んでいきました。

カッターの動力に使われているトラクターの音が鳴り響く、勇壮な作業でした。おやつには牛乳とカボチャ、自家製のパンがよく出ました。 その作業が終わると、牧場の大きな仕事もおしまいで、秋の収穫祭がやってきます。 牧場敷地内の裏山に祭ってある「金毘羅神社」には村の人々が集まり、お参りを済ませると宴会が始まりました。 大人も子供も集まっての宝探しやゲームは、子供達にとっても大変楽しい行事でした。

山々の紅葉が色づいて美しい色模様をつくる頃、大人の女性たちはジャムや味噌を造り、漬物を漬けます。 大人の男性たちは農作業の後片付けをしたり、薪を作ったりと、長い冬を越すための準備に忙しい毎日を送りました。 子供達はコクワ(アケビに似た蔓植物)や山ブドウの蔦、梨の木によじ登って実を食べたり、池の鯉を釣ったりして遊びました。 この時期、自家製の蜂蜜を使って母が作ってくれたドーナツやビスケットは、大人にも子供にも人気がありました。

ペチカでパンを焼く母を描いた水彩画
ペチカでパンを焼く母

ご馳走が食卓に並ぶ季節

12月も20日を過ぎると、豚は屠殺されハムやソーセージ等が作られました。 クリスマスには、詰め物をされたアヒルがクッキングストーブで蒸し焼きにされます。 一年を通じて時折チーズやバターが作られ、冬には生クリームや蜂蜜を使ってアイスクリームも造られました。

外の仕事の少ないこの時期は、自家用に作られたいろいろなものを食べながら、父や母と一緒にゆっくり過ごすことができました。 外ではしんしんと音もなく雪が降り積もり、真っ白な銀世界に、静かに時が流れていきます。 家の中ではペチカが真っ赤になって音をたてて燃えていました。 夜遅くなって子供達の寝た後も、父の好きなモーツァルトやベートーヴェンのレコードが聞こえていたものです。

遠い昔の牧場、戦後間もなくの頃。
もう再び戻ることのない、幼き日の思い出です。

そしてこれこそ、エーデルワイスの
コンセプトの原点なのです。

CONCEPT OF EDELWEISS FARM