話は2019年の初冬に進みます…氷温熟成を経たベーコンをさらに熱燻し、数ヶ月熟成。やっと形になった新製品を待ちきれずに試食してみました。 想像とは裏腹に、その結果は衝撃的でした。ボソボソした食感、酸化した脂肪から引き立つ苦味、いわゆる美味しさとは程遠い結果に。

改善の糸口を探るため、脂肪を取り除いたものを試してみましたが、こちらも結果は同じ。これが「節」、と呼べるような出来栄えではありませんでした。

しかし、試行錯誤の中で一筋の光が。脂肪の少ない部分を薄く削って食べてみたところ、熟成された旨みが凝縮されており、これは期待できるかもしれない、と。

そこで思いつきました。「これをもっと多くの人に味わってもらい、意見を聞こう」と。タイミングよく迫っていた味覚にうるさい先輩のクリスマスパーティーに新製品を持参して意見を求めました。

結果は…賛否両論。削り節機で削ると脂肪がボソボソしてしまい、上手く削れないという指摘。もう少し旨みがあればいい、というアドバイス。更には、豚肉ではなく牛肉も試してはどうか、という独自の提案も。たくさんの意見をいただいたのですが、残念ながら「これ!」という決め手には繋がりませんでした。

そこそこ、これでリリースしても大丈夫か?と悩みながら、後日、生産量を増やすよう指示を出し、50Kgほどの原料を手配。

そして新たな挑戦が始まりました。もっと長い熟成期間を設けてみよう…我々の冒険はまだ続きます。