「ホテルの朝食のように、カリカリベーコンを焼きたいのに、なぜかグニャッとしてしまう」
「焼いているうちに水っぽくなり、最後は焦げてしまう」

そんな経験はありませんか。
実はそれ、焼き方の問題ではないかもしれません。
原因は、ベーコンそのものに含まれる「水分」と「副原料」にあることが多いのです。

そこで今回、スーパーで買える市販ベーコン2種と、当ファームの長期熟成ベーコンを用意しました。
そして、まったく同じ条件で10分間焼き、その差を記録しました。
結果は、写真で見てわかるほど明確でした。

この記事では、検証の結果と、ラベルだけでカリカリベーコン向きかどうかを見分ける方法をお伝えします。
焼き方そのものを知りたい方は、プロの焼き方をまとめた記事をご覧ください。

SUMMARY
1 水分が多いと、焼くのではなく蒸す状態になる
2 同条件で10分焼くと、仕上がりに明確な差が出た
3 JASには「熟成ベーコン類」という物差しがある
4 見分けるポイントは、原材料表示の5か所

カリカリベーコンにならない原因は、焼き方ではなく「水分」

カリカリベーコンにならない主な原因は、加熱中にベーコンから出てくる水分です。
水が残っているあいだ、フライパンの表面温度は上がりきりません。

本来、ベーコンを焼くと脂が溶け出します。
そして、その脂で自分自身を揚げ焼きにする状態になります。
この状態になると、香ばしい焼き色と、パリッとした食感が生まれます。

ところが、水分を多く含む製品では順番が変わります。
まず、加熱とともに水が染み出します。
すると、フライパンの温度が下がります。
つまり、焼いているつもりでも、実際には蒸している状態に近づきます。

WHAT HAPPENS IN THE PAN 水分と副原料が多いベーコン 水が出る=温度が上がらない 蒸している状態に近い 水が飛ぶ 温度が急上昇 糖とたん白が一気に反応 表面だけ黒くなり、芯は湿ったまま × 水分が少ないベーコン 早い段階で脂が溶ける 透明な脂が出てくる 脂で揚げ焼きになる 表面温度が上がる きつね色になる パリッとした食感 水が残っているあいだ、表面の温度は水の沸点である100℃前後で頭打ちになります。 焼き色は、還元糖(水あめなど)とアミノ化合物(卵たん白・乳たん白など)が反応して生まれます。 材料が多いほど、温度が上がった瞬間に一気に色づき、焦げへ転じます。
※温度変化をわかりやすくした模式図です

焦げるのは、糖とたん白が多いから

問題は、水が飛びきったあとです。
表面の温度は、そこから一気に上がります。
この急上昇に、副原料が重なります。

焼き色は、メイラード反応という化学反応で生まれます。
この反応には、還元糖とアミノ化合物の両方が必要です。
水あめなどの糖類が、還元糖にあたります。
卵たん白や乳たん白は、アミノ化合物にあたります。

保水性を高めた製品は、これらを多く含みます。
つまり、褐変の材料を余分に抱えた状態です。
そのため、温度が上がった瞬間に色づきが進みます。
芯まで水が抜ける前に、表面が黒くなるわけです。

ひとことで言うと

水が残っているあいだは、フライパンの中は「煮る」に近い状態です。
水が飛んだ瞬間に温度が上がり、糖とたん白が一気に反応して黒くなります。
つまり、焦げやすさは焼き方より先に、原材料で決まっています。

製品によって水分量が違う理由

では、なぜ製品によって水分量が違うのでしょうか。
理由は、塩を肉に届ける方法と、熟成にかける時間の差にあります。
詳しくはベーコンの製法を比較した記事で解説しています。

【焼き比べ検証】市販ベーコンと長期熟成ベーコンを同じ条件で焼く

市販ベーコン2種と当ファームの長期熟成ベーコンを、同じフライパン・同じ火加減・同じ10分で焼きました。
結果は、焼く前の段階からすでに差が出ていました。

TEST CONDITIONS
1 調理器具:同じフライパンを使用
2 火力:弱火。冷たいフライパンから加熱
3 時間:10分間
4 油:ひかない。ベーコンから出る脂のみ

※市販品の銘柄は公開していません。一般に流通している製品から2種を選びました。

焼く前|包丁を入れた時点で差が出た

まず、ブロックの状態を比べました。
肉の締まり具合に、はっきりとした違いが見られました。

カリカリベーコンの焼き比べ検証で使用した、焼く前の市販ベーコンブロック2種と長期熟成ベーコンブロックの比較写真
左・中:市販品のブロック。右:当ファームの長期熟成ベーコン。

市販品は肉質がやわらかく、包丁を入れると形が崩れやすい状態でした。
そのため、均一な厚さに切りそろえるのに苦労しました。
一方、当ファームのベーコンは身が締まっており、まっすぐに切ることができました。

加熱中|脂が出るまでの時間が違った

次に、フライパンに乗せて弱火にかけました。
ここで、決定的な違いが現れました。

市販品2種は、脂がなかなか溶け出しませんでした。
そして、水分が蒸発したあとは、フライパンに張り付くようにして表面だけが黒くなりました。

対照的に、当ファームのベーコンは早い段階で透明な脂が出てきました。
その脂で自身を揚げ焼きにする状態になり、香ばしい薫香が立ちのぼりました。

長期熟成ベーコンから透明な脂が溶け出し、カリカリベーコンらしい焼き色がついている様子
透明な脂が溶け出し、焼き色がついてきた状態。

10分後|カリカリになったのは1種類だけだった

そして、10分後の状態を焼く前と並べました。
結果は一目でわかるものでした。

カリカリベーコンの焼き比べ結果。上段が焼く前、下段が10分焼いた後の3種類の比較
上段:焼く前。下段:10分焼いた後。

市販品2種は、10分焼いてもカリカリにはなりませんでした。
水分が抜けた分だけ縮んでいます。
しかし、表面だけが焦げ、芯は湿ったままという状態でした。

当ファームのベーコンは、全体がきつね色に仕上がりました。
箸で持ち上げると、パリッと音がする状態になりました。
ただし、味の感じ方には個人差があります。

THE BACON WE USED

この検証で焼いたのは、当ファームの薪・炭火仕上げベーコンです。
マイナス2℃の氷温帯で約4週間かけて熟成させています。

なぜ差が出たのか|ラベルに書かれている手がかり

差の理由は、原材料表示に現れます。
加水と副原料が多い製品ほど、焼いたときに水が出やすくなります。

ベーコンには、保水性を高めるための原材料が使われることがあります。
例えば、たん白質系の副原料や、リン酸塩などです。
リン酸塩には、肉の保水性を高める働きがあります。
あわせて、水あめなどの糖類が加えられることもあります。

ただし、これらが使われていること自体は問題ではありません。
やわらかい食感を出すためには、必要な技術です。
目的が違うだけの話です。

JASの「熟成ベーコン類」という物差し

選ぶときの客観的な目安として、日本農林規格(JAS)があります。
そのなかに「熟成ベーコン類」という規格が定められています。
この規格は、2025年2月28日に改正されました。

JAS 2075:2025 「熟成ベーコン類」が定める条件 1 注入する場合 10%以下 塩漬液の量は 原料肉重量に対して 2 赤肉の中身 18%以上 粗たん白質が 含まれていること 3 使える原材料 食塩/砂糖類/蜂蜜 香辛料/糖アルコール 原料肉以外は、この範囲 ※JASは任意の規格です。格付を受けた製品にJASマークが付きます。 ※マークの有無は品質の優劣を示すものではありません。ここでは数字を読む目安として紹介しています。
JAS「熟成ベーコン類」が定める条件のうち、原材料表示から確認できる3点。

この規格には、たん白質系の副原料は挙げられていません。
つまり、卵たん白や乳たん白を使った製品は、この枠には入りません。
したがって、原材料表示を見れば、どちら寄りの設計かがわかります。

ひとことで言うと

原材料が「豚肉・食塩・砂糖・香辛料」だけに近いほど、水分は少なめの設計です。
逆に、たん白や保水剤の名前が並ぶほど、やわらかさを狙った設計になります。

市販品が「悪い」わけではありません

誤解のないようにお伝えします。
手に取りやすい価格の市販ベーコンには、大きな存在意義があります。

限られたコストで、誰もが買える価格を実現する。
そして、子どもでも食べやすいやわらかさを出す。
そのためには、保水性を高める技術が欠かせません。

スープの具にする場合はどうでしょうか。
やわらかい食感のほうが合う場面もあります。
目的次第で、適した製品は変わります。

← 表は横にスクロールできます →

設計の方向 向いている使い方 焼いたときの傾向
保水性を高めた設計 スープ、煮込み、やわらかい食感を好む場合 水が出やすく、カリカリにはなりにくい
水分を抜いた設計 カリカリベーコン、厚切りステーキ、贈り物 脂が出やすく、焼き色がつきやすい

※表は一般的な傾向です。原料、塩分、温度、期間、加熱、燻煙により仕上がりは変わります。
※実際の配合は商品表示を優先してください。

カリカリベーコンになる製品の見分け方5つ

売り場では、パッケージの裏だけを見れば判断できます。
確認する場所は5か所です。

CHECK THE LABEL 買う前に見る5か所 1 原材料の並び順 豚肉のあとに続く品目が少ないほど、水分は少なめの設計 2 たん白系の副原料 卵たん白、乳たん白、大豆たん白の記載があるか 3 保水剤の有無 リン酸塩(Na)などの記載があるか 4 熟成期間の記載 「長期熟成」ではなく、具体的な日数が書かれているか 5 糖類の位置 水あめやぶどう糖が、原材料の上位に来ていないか
売り場で確認できる5つのポイント。

ただし、原材料が少なければ安全、という話ではありません。
反対に、添加物があるから危険、ということもありません。
それぞれに役割があります。

亜硝酸塩の役割については、別の記事で詳しく解説しています
ここでは、あくまで「焼いたときにどうなるか」という観点だけで整理しました。

用途別の選び方|スライスかブロックか

カリカリベーコンを目的にするなら、選び方は使う場面で決まります。
まず試すならスライス、厚さにこだわるならブロックです。

WHICH ONE スライス ・朝食で毎日使いたい ・包丁を使わずに焼きたい ・まず味を確かめたい 届いたその日に焼けます ブロック ・厚さを自分で決めたい ・食べ応えを重視したい ・煮込みにも使いたい この検証で焼いたのはこちら ※厚く切るほど、中まで火が通るのに時間がかかります。
目的から選ぶための早見図。

厚さによって、焼き上がりは変わります。
薄く切れば早くカリカリになります。
一方、厚く切れば食感は残りますが、時間はかかります。
具体的な焼き方は、焼き方の記事にまとめました。

当ファームの場合|マイナス2℃で約4週間

当ファームのベーコンは、塩漬液に肉を浸す方式で仕上げています。
そして、マイナス2℃の氷温帯で約4週間かけて熟成させます。

まず、私たちは塩漬液を注入しません。
また、肉を動かして液を抱かせるタンブリングも行いません。
そのかわり、時間をかけて味をなじませます。

この工程を経ると、原料肉10kgから完成するのは約6kgです。
量を増やすのではなく、水分を抜いていく設計です。
だからこそ、フライパンに乗せると早い段階で脂が出てきます。

OUR METHOD
−2℃
氷温帯での熟成温度
約4週間
塩漬液に浸す期間
10→約6kg
原料肉から完成まで
注入なし
タンブリングも不使用

量を増やすのではなく、時間をかけて水分を抜く。
それが、焼いたときの差になって現れます。

燻製には、2年間自然乾燥させたオーク(楢)材の薪と炭を使います。
そして、職人が肉の状態を見ながら火力を調整し、直火の温燻で仕上げます。
なお、ロットによって数値には多少の幅があります。

第三者機関からの評価

私たちはJASの格付を受けていません。
そのかわり、熟成温度と期間、注入の有無をこの記事で公開しています。
数字を出したうえで、味そのものは外部の審査に委ねてきました。

薪・炭火仕上げベーコンは、国際味覚審査機構(ITI)の優秀味覚賞で三つ星の評価を受けています。
この評価は、2020年から2026年まで7年連続で続いています。
また、10年間のうち7回三つ星を獲得した製品に授与されるダイヤモンド賞を、2026年に受賞しました。
受賞の一覧と公式証書は受賞実績のページにまとめています。

カリカリベーコンの原料となる長期熟成ベーコンを、薪と炭の直火で温燻している様子
薪と炭を使い、肉の状態を見ながら温燻します。

この記事に出てきた用語

ベーコン選びには、聞き慣れない言葉がいくつか出てきます。
ここでまとめて整理しておきます。

塩せき(塩漬)
肉に食塩などを加え、低温で漬け込む工程のこと。ベーコンづくりの中心となる作業です。
塩漬液
塩せきに使う液。食塩や砂糖などを配合します。ピックル液とも呼ばれます。
氷温熟成
凍る直前の低い温度帯で寝かせること。塩を届ける方法とは別の、温度と時間の管理を指します。
保水剤
肉に水分を保たせるために使う添加物。リン酸塩などが該当します。
温燻
30〜80℃ほどの温度帯で数時間かけて燻す方法。冷燻や熱燻とは温度帯が異なります。
無塩せき
発色剤を使わずに塩せきを行ったもの。公正競争規約で定義されています。保水剤を使っていないという意味ではありません。

カリカリベーコンに関するよくある質問

ベーコン選びでよく寄せられる質問をまとめました。

カリカリベーコンにしたいのですが、どう選べばいいですか?

原材料表示を見て、豚肉のあとに続く品目が少ないものを選んでください。
卵たん白や乳たん白、水あめ、リン酸塩の記載が多いほど、水分が出やすく、焦げやすくもなります。
また、熟成期間が具体的な日数で書かれているかも目安になります。

焼き方を変えればカリカリベーコンになりますか?

ある程度までは改善します。
油をひかず、冷たいフライパンから弱火で焼くと差が出ます。
ただし、水分と副原料が多い製品では、この方法でも限界があります。

「無塩せき」のベーコンならカリカリになりますか?

一概には言えません。
無塩せきとは、発色剤を使わずに塩せきを行ったものを指します。
つまり、保水剤を使っていないという意味ではありません。
原材料表示を個別に確認してください。

厚切りと薄切りでは、どちらがカリカリになりますか?

薄いほうが早くカリカリになります。
厚切りは中心まで火が通るのに時間がかかります。
そのため、弱火でじっくり加熱する必要があります。

スライスとブロック、どちらを選べばいいですか?

まず試すならスライスが手軽です。
包丁を使わず、届いたその日に焼けます。
一方、厚さを自分で決めたい場合はブロックが向いています。
この記事の検証で焼いたのも、ブロックから切り出したものです。

エーデルワイスファームのベーコンはどこで買えますか?

北海道北広島市の直売所のほか、公式オンラインショップでもお求めいただけます。
お電話でのご注文も承っております。

まとめ|カリカリベーコンは焼く前に決まっている

カリカリベーコンになるかどうかは、フライパンに乗せる前にほぼ決まっています。
焼き方の前に、まず水分の少ない製品を選ぶことが近道です。

今回の検証では、同じ条件で焼いても仕上がりに差が出ました。
その差は、原材料表示から読み取れます。
売り場では、裏のラベルを1枚めくってみてください。

そのうえで、焼き方を整えると仕上がりはさらに変わります。
手順は焼き方の記事にまとめました。
ぜひ、朝食の一皿でお確かめください。

ONLINE SHOP

ご自宅で本物のカリカリベーコンを

マイナス2℃で約4週間。
使い方に合わせて、2つからお選びください。

FOR BREAKFAST
まずは朝食で試したい方へ

スライス済みなので、届いたその日にフライパンへ。

FOR THE THICK CUT
厚さを自分で決めたい方へ

この記事で焼いたのは、ブロックから切り出したベーコンです。

参考資料・出典